- 生物史から、自然の摂理を読み解く - http://www.seibutsushi.net/blog -

男(オス)と女(メス)があるのはなんでだろう?①

今年も、「生命史から自然の摂理を読み解く」を応援してくださってありがとうございます。2008年もどうぞよろしくお願いします。
私:雅無乱 [1]は、関西の路上で毎週「なんで屋」なるものをやっている。道行く人達の「なんでだろう?」という疑問に何でも応えます!応えに満足していただいたらチャリーンとコインを入れておくれ…というもの。
(これは友人のブログ:
http://blog.livedoor.jp/nandeya_umeda/ [2]イメージとしては、例えばこんな“お題”などを扱っている。男女関係や悩み相談から社会問題まで幅広く^^;)。

名古屋で友人もやってるし、関西関東では道端で僕の仲間たちがやってるのを見かけたことがある人も多いのでは?最近有名になってきたみたいで嬉しい限りである。
路上で出会った見知らぬ人とマジ話して、一緒に追求するってのはなかなか楽しいものなのだ。
で、先日、その「なんで屋」で、
「人間に男と女があるのはなんで?」
というお題を、カップルに聞かれて困ってしまった。
こういう素朴な疑問が一番難しい。たしかに「なんでなんや?」。
この場は生命科学メインのブログなんで「高等生物のほとんど全てが雌雄分化しているのはなんでだろう?」という問いに変えて、その本質を考えてみようと思う。
■有性生殖は、実は極めて非効率なシステム?
来年もよろしくお願いします。
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■有性生殖は、実は極めて非効率なシステム?
有性生殖というのは、ちょっと考えると分かるのだが、実に非効率的だ。
単細胞生物のように分裂増殖(無性生殖)で増えるのであれば、一つの細胞が単純に2つになる(一回分裂すれば一気に2倍になる)。DNAも単純に複製を作ればいいだけで済む。
ところが有性生殖では、2つの細胞(配偶子、または2つの多細胞体=個体)が互いに相手を探さなくてはならない。単細胞なら単独で勝手に分裂すれば確実に増えることができるが、有性生殖の場合は、もし相手と出会えなければ大量の配偶子を無駄に生産したことになる(もちろん、多細胞体=個体も相手と出会って生殖できなければ、生物学的には無駄ということになってしまう)。実に無駄が多い危険な賭けである。
そして、たとえしかるべき相手と遭遇できたとしても、互いに正しい相手かを判断しなくてはならない(互いをしかるべき相手だと認識する機能が必要)。さらに、おのおのが自分の都合だけで増殖のタイミングを決めるわけにはいかないので、他の配偶子(個体)とタイミングを合わせるための様々な工夫も必要になる(たとえば、配偶子を放出する時期をリンクさせたり、発情期を創り出したりする必要がある)。
そうしてしかるべき相手が生殖の準備ができていることを確認したら、ようやく生殖行為ができる。これもエネルギーをかけてがんばってセックスをして(or受精をして)、それも必ず成功というわけにはいかず、運良く受精し、運良く成長できてはじめて次世代が生まれる。DNAの複製に関しても、有性生殖を行う生物は大抵2倍体なので、一旦減数分裂し、それぞれを合わせて2セット分のDNAを持つわけで、その分、複製に必要なエネルギーも原料も多量となる(しかもその大部分が受精できないので無駄が多い)。
このように、有性生殖は単純な2分裂に比べてはるかに長い時間とエネルギーと物量が必要で、実に非効率的である。こと「増殖」という一面で斬ってみると、もう非効率をはるかに通り越して、ほとんど浪費・無駄だらけ、といった感じだ。
こう考えていくと、“有性生殖なんてわざわざそんなことして、気でも狂ったんとちゃうか?”という気がしてしまう。
短絡的に考えると、
極端に効率が悪い → 競争に負ける → 絶滅
となりそうなものだが、実際は、進化の過程でひとたび有性生殖を行う生物が出現すると、そちらが多様に進化し生物界の主流になってしまったという事実がある。
いったいなぜなのだろうか?
<②につづく>

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