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雌雄同体から雌雄異体への分化史

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11/23(祝)に開催された「なんでや劇場」の「生物史から学ぶ自然の摂理⑤~オスとメスに分化したのはなんで?~」を紹介するシリーズ、今日のテーマは「雌雄同体から雌雄異体への分化史」です。
この図解はなんで屋劇場で配布された資料を簡略化したものです。本当の資料はカラーで、様々な生物の写真や体の構造が紹介されている優れもの。是非皆さんも参加してください。
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生物進化の第一段階、原生動物から多細胞動物に進化したときは、無性生殖が基本で雌雄同体からスタートします。
最も原始的な多細胞動物である、カイメン動物は基本的に雌雄同体で、出芽による無性生殖と有性生殖を行っています。もう少し進化した腔腸動物になると、イソギンチャクは分裂、ヒドラは出芽増殖を行いますが、クラゲは有性・無性世代の生活環を持ちます。
次の段階で生物の進化史は脊椎動物に進む棘皮動物と、環形動物に分かれます。
棘皮動物は分裂増殖する種も見られますが有性生殖が基本となり、多くは雌雄異体となります。原索動物である、ホヤは雌雄同体で無性有性の生殖の両方を行いますが、ナメクジウオになると雌雄異体で有性生殖が基本となります。魚類以降の脊椎動物では、一部の魚で雌雄同体や単為生殖が見られますが、ほぼ雌雄異体の有性生殖のみとなります。
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もう一つの進化系統樹である、環形動物、軟体動物、節足動物の流れも似たような進化をたどります。
環形動物では雌雄同体が基本で、軟体動物になると貝類に雌雄同体が多く見られますが、イカタコは原則雌雄異体となり、節足動物では雌雄異体の有性生殖が基本で、一部ハチやアリなどのように単為生殖をするものが残る程度になります。
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雌雄同体が主流の生物に共通していることは、運動機能がそれほど進化していないということです。(脊椎動物は、運動機能やそのための情報系の機能などが著しく進化しています。)おそらく、運動機能を進化させようとすれば、高度な体細胞の分化が必要であり、体細胞の分化を高度に推し進めるためには、生殖細胞と体細胞の分化を推し進める必要があったのでしょう。
写真は「Jellyfishの水中写真の世界へようこそ [4]」よりお借りしました。

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