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単細胞から多細胞へ 過酷な生存闘争圧力に対応するため役割分化した細胞群

単細胞生物から多細胞生物への進化の過程を見ていくと、環境の変化(=外圧:外部世界からの圧力)に単細胞生物がどのようにして適応してきたかが明らかになります。

そしてこの適応戦略に、現代の企業の適応戦略と同じ「自然の摂理」を見ることができます。
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①生存闘争圧力の上昇
最初の単細胞生物以降、たくさんの単細胞生物が誕生しました。この単細胞生物は、生物の最大課題である『種の保存』、つまり、次代の子孫を残すために、多様な生殖様式を取り多様な変異体を生み出し続けました。そして、単細胞生物の種類・数が増加していくと、「食うか食われるか」という生存闘争圧力が上昇していきます。
これは、現在の企業などの集団でも同様です。ある業界で企業の数が増えれば、「食うか食われるか」の争いが激しくなります。
②摂取機能の高度化
「食うか食われるか」の生存圧力の中を生き残るためには、栄養摂取機能を高度化させる必要があります。
しかし、多細胞生物以前の単細胞生物は、一つの細胞が運動し栄養を摂取することと、分裂し子孫を残すことの両方を行います。単細胞生物とは、“種の保存”と(栄養の摂取という)“仕事”の両方行う言わば全能細胞です。この負担の重い”種の保存”という機能を持ったまま、摂取機能を高度化させることは不可能です。
③保存と仕事(生殖と栄養摂取)の分化
このため、細胞1個1個の全能性を捨て、生殖を担う細胞群と栄養摂取を担う細胞群とに分化していきます。種の保存=生殖の機能を専門に担う細胞群(生殖細胞)を作り出すことで、それ以外の細胞群(栄養摂取を担う細胞群=体細胞)は摂取機能に特化し、過酷な生存闘争圧力に対応していきます。
役割分化した細胞群が多細胞生物という一つの個体を形作るわけですから、多細胞生物では細胞間コミュニケーションが高度に発達しています。この「統合」が成立して始めて、生殖細胞と体細胞の「分化」が可能となります。
④種間圧力の上昇
摂取機能が高度化していけば、「食うか食われるか」の生存闘争圧力(=種間圧力)はますます高まります。種間圧力が上昇すればするほど、摂取機能を高度化させなければなりません。この循環的な圧力上昇が、多細胞生物の多様な進化の源泉です。

過酷な企業間競争でも、分化(役割分担)を進めなければ生き残れない時代となりました。この分化(役割分担)が可能となるためには、統合されていなければなりません。“統合”と“分化(役割分担)”は不可分です。
また、ある企業が高度に組織化(=分化と統合)していけば、企業間競争の圧力が強まり、高度に組織化された企業が続々と登場します。その結果、企業間競争はますます激しくなり、企業にかかる外圧は上昇し続けます。
この循環的な圧力上昇を受けて、あらゆる企業が可能性を探索し、経営戦略(=統合軸)を作り上げ、その統合軸を基にした体制構築(=分化)を進めていくことになります。

ないとう@なんで屋でした。 [1]

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