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生物がオスとメスに分かれたのは、なんで?

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さて、一週間にわたって「なんでや劇場~生物史から学ぶ自然の摂理⑤」の内容を振り返ってきましたが、ここで「オスとメスに分化したのは、何で?」の答えをいったんまとめます

多細胞動物の生殖系の進化のステップは、3段階

Ⅰ 保存と仕事の分化(殖・産分化)
Ⅱ 精卵分化
Ⅲ 雌雄躯体分化


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Ⅰ 保存と仕事の分化(殖・産分化)
・真核倍数体生物は、保存(減数分裂システム:生殖細胞)と仕事(単純分裂システム:体細胞)へと機能を分化させます。これが多細胞化の原点。
・種の保存上、最も負担の大きい生殖を専門に分離することによって、体細胞系列を高度に機能分化させていくことも可能となります。
・特に動物の場合・・・動物は動いて栄養を摂るしかない⇒摂取機能の高度化⇒種間圧力上昇⇒摂取機能の高度化⇒種間圧力上昇・・・という循環的な外圧上昇構造にあり、これが、保存と仕事の分化の軸線上で、多細胞動物の進化を促進してゆくことになります。

Ⅱ 精卵分化
・精子と卵子に配偶子が分かれたのは、運動と栄養の役割分担により、受精過程(出会い)と発生過程(エネルギーを要する)の両方に適応的な形態への分化です。また、精子・卵子双方に淘汰適応の原理が組み込まれています。
※コチラもごらんください→精子と卵子に配偶子が分化したのはなんで? [3]

・さらに、突っ込んで考えると・・・受精卵の中心体が精子由来であること、その中心体は変異活性度が高いこと、またオスのみに存在する抗原タンパク質(HY抗原)の存在等を考え合わせると、精子が外圧変化に対応した何らかの変異情報を媒介している可能性が高い。
※コチラもごらんください→精子・卵子の違いの本質はこれだ!! [4]

・つまり、精卵分化の本質は、精子:変異配偶子と卵子:保存配偶子への分化であることが見えてきます。
・変異と保存の分化、これがオスメス分化の原基となります。

・これは、変異+不変の組み合わせによる、生物的に安定な生殖システムとも言えます。
(※参考 生物史から学ぶ『安定』と『硬直』の違い [5]

Ⅲ 雌雄躯体分化
・動物の場合、精卵分化から、雌雄の躯体が固定的に分かれるようになるまで、かなり長い歴史があります。魚類の段階まで、雌雄同体と雌雄異体が併存しています。
(なお、植物の場合、高度に進化した植物は一般的に雌雄同体です)
※コチラもごらんください→雌雄同体から雌雄異体への分化史 [6]

・雌雄の躯体が分化していく背景には、(Ⅰで述べた)摂取機能の高度化⇒種間圧力上昇・・・という循環的な外圧上昇構造が前提にあります。
・体細胞系列の高度化の要請と同時に、各々の配偶子、生殖巣、生殖器etcを緻密につくりあげるためには、精子をつくる躯体(オス)と卵子をつくる躯体(メス)を分化させたほうが合理的となります。
・また、動物ゆえの種間圧力⇒摂取能力高度化・・・に対応するため、幼体保護と防衛力上昇の要請が加わります。これは必然的に(保存性に特化した卵子を持つ)メスの生殖負担の増大、そして、それとバランスするようにオスの闘争負担が増大する方向へつながります。これは脊椎動物の進化史とも符合します。
・これらにより、動物の雌雄の躯体は分化していったと考えられます。

★こうしたオスメス分化の歴史(摂理)に立って、「オスとは何か? メスとは何か?」という問いに答えるならば・・・

変異性の上に、闘争能力(役割)が塗り重ねられた存在=オス
保存性の上に、生殖能力(役割)が塗り重ねられた存在=メス


となります。

生物の数十億年の歴史のなかで、外圧に適応していくために、役割分担と調和が塗り重ねられてきた、それがオスとメスの分化なのです。
オスという役割(存在)、メスという役割(存在)があわさってはじめて、外圧に適応的たり得たし、種をつなぐこともできたのですね

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