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驚くべき生殖システム(本能機能と観念とのかかわり)

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「卵子の一生、精子の一生」すごくおもしろかったです。生物に関する知識が少ない私にとっては驚くことの連続でした。
さてこの投稿の中で「あれっ?」 と思ったことがひとつあります。


>膣内に放出された精子は卵子に辿り着く過酷な旅に出る事になります。膣の内部は細菌やウイルス防止の為強い酸性状態(ph5以下)になっていて、精子にとっても過酷な環境です。膣内に放出された精子は、子宮頚管という子宮に繋がる細い道に入らなければ死滅してしまします。(精子はアルカリ性で運動が活発になり、中性からやや酸性で運動能力低下。Ph5.7付近で急激に死滅。)
の部分ですが、この文章のとおりなら「Ph5.7付近で急激に死滅」する精子は、「強い酸性状態(ph5以下)」になっている膣内に全然到達できないのでは? 🙄 という疑問です。
この秘密についてるいネットになるほどという解説がありましたので報告します。
「不妊治療の端緒は、その通りだと思います」 [1]より
胎児が無事生まれ出る為には、幾つもの関門をくぐりぬけて行きます。
最初の関門が、例に出された精子の試練ですね。精子は、確かに酸性の環境に弱いため、子宮頸管粘液(濡れるという事)のアルカリ性の助けが必要なのですね。
一方、精子は、15センチ程運動しないと卵子に出会えませんので、体長の約3千倍の距離を泳ぎ切ることになります。膨大な運動能力の高い精子が必要となる理由です。
この、第一の関門を乗り越えて、無事受精が完了すると、第2の関門が待っています。それは、受精卵の子宮壁への着床です。受精卵は、卵分割しながら卵管を下って来ますが、この過程で信号を発し、子宮の側に着床の準備を促します。この着床過程は、母体の免疫機構の抑制を必要とします。卵分割が進む胎胚胞と母体の身体状態が、協働歩調をとれないと、着床に失敗します。
そして、第3の関門は、胎児の成長過程での関門です。胎児は、その成長過程で脊索動物段階、魚段階、両生類、爬虫類、哺乳類段階と身体器官の形成と組替えを行っていきます。
特に、水から陸上に移る段階(魚類から両生類)で、劇的な危機を迎えます。それは、一旦水生生物として、身体の諸器官を形成した後に、陸上動物の諸器官に組替える必要があり、その劇的転換が必要なためです。水中と陸上という全く異なる環境に適応するための諸器官の転換です。
(三木成夫著中公新書「胎児の世界」が参考です。)
この段階を過ぎますと、概ね順調に胎児の成長が経緯するようです。
こう見ますと、良いSEXがあって、元気のよい精子群がいて、不全感の少ない身体(母体)があって、初めて新しい命が生まれ出るのですね。
ところで、生殖器官は、内臓系に帰属します。それに対して、脳神経系は体壁系に帰属します。この内臓系と体壁系は、多細胞動物の進化からみて、根元に近い器官系統の違いです。
ですから、体壁系の拘束が強すぎる(脳神経系の「支配観念」が強い)と、内臓系の生殖器官が真っ当に働くなる事が起こると思います。

生命の持つ最も本能的・根源的次元の機能でさえ観念一つで機能しなくなってしまう。
現代の社会問題である少子化問題やセックスレス問題も、このことと深く関わっているのだとしたらかなりの驚きです。

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