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卵子と精子の大きさが違うのはなんで?

 こんにちわ。arincoです。最近は配偶子について調べています。配偶子といえば精子卵子。ですね。精子と卵子は大きさが異なりますが、生物の中には、大きさが同じのものや大きさが異なるもの等様々な配偶子があるようです。
 今回は、
なぜ卵子と精子の大きさが異なるのか?に焦点を当てていきたいと思います。
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 さて、まずは、配偶子の基本的な知識から。生物の生殖細胞のうち、接合して新しい個体を作るものを配偶子といいます。
そして、配偶子のうち、大きさが同じものを同形配偶子といい、大きさや形が異なるものを異型配偶子と呼びます。そのうち、大型の配偶子を雌性配偶子、小型の配偶子を雄性配偶子と呼んでいます。
 我々人間の配偶子は異型配偶子で雌性配偶子=卵子 雄性配偶子=精子ということになります。
さて、ここまできて気になるのが
なぜ大きさや形が異なるの
という素朴な疑問ですよね。
そこで、るいネットの佳作投稿 [4]のお力をお借りして説明したいと思います。

異形配偶子の殆どは多細胞生物以降に登場しますが、新たな生命体の為には、より多くの栄養を蓄える必要があります。
この栄養を蓄える機能を担い、大型化したのが雌性配偶子であり、異形配偶子の起源であるようです。
同形配偶子の場合には、両配偶子とも運動能力があり、異形配偶子となった当初の段階でも両配偶子とも運動能力はありましたが、雄性配偶子の更なる大型が進むと、運動能力を失って「待ち受ける性」となります。これを卵細胞、卵と言います。
一方、雄性配偶子は、雄性配偶子が「待ち受ける性」となった以上、運動能力を高める必要があります。つまり、益々小型化し必要最小限の遺伝子情報しか持たない「追い求める性」となります。これを精細胞、精子と言います。
ちなみに大きさの違いは、人類場合には精子5μmに対して、卵子100μmと20倍になっています。
つまり、有性生殖の為だけに特殊化した配偶子を作らなければならない多細胞生物にとって、配偶子を鞭毛を持ち運動能力の優れた精子と、運動能力はないが発生に必要な多くの栄養分を持つ卵子に分化させた方が、受精と発生の効率を高めるのに有利であった言えます。

なるほど。
新たな生命体の為にはより多くの栄養を蓄える必要性→
栄養を蓄えるためには大型化が必要→大型化により運動能力の低下=待ちうける性→
追い求める性の必要性→運動能力に特化した配偶子の登場

といった所でしょうか。さて、この一連の流れで気になるのがスタート地点の新たな生命体の為にはより多くの栄養を蓄える必要性があるという所ではないでしょうか。なぜ新たな生命体=進化していく必要があったのか。いままでの同型配偶子ではだめだったのか?という所ですよね。そこでまたまたるいネットの佳作投稿 [5]から面白い仮説を見つけました。ここでは、カンブリア紀の爆発的な生命進化が性・生殖にも影響を与えているのではないか。と仮説を立てています。

生命進化の適応圧力が、自然圧力から種間圧力へと転化していくが、カンブリア紀は、この種間圧力段階の仕上げ時代であろう。簡単にすると、捕食・被捕食の種間関係圧力が、自然圧力よりも完全に上位にくる段階です。

独立栄養の植物は、動物に食われる。小さな動物はより大きな動物に食われると言う関係が、生物の基底構造となった時代です。

そして、この種間関係を性、生殖の過程として注目してみると違った側面が見えて来ます。
つまり、生殖過程での「卵」に対しても、全く違う適応圧力が加わってくると思います。
何かと言いますと、「より大きな幼体で生まれる方が有利になる」ということです。
捕食、被捕食の関係は、単純化すれば、大きな動物が小さな動物を食べるという関係ですから、新しく生まれる幼体が大きければ大きい程、生存できる可能性が高まります。
この大きく生まれるためには、大きな卵で栄養素を沢山保持し、各器官を大きく作り上げて、卵から発生してくる必要があります。
確かに、より沢山の卵を産むという「多産多死」という方法もありますが、「幼体巨大化」という方法が成立します。
この、幼体巨大化は、成体(主に雌)の生殖負担を重くします。
単に、性による遺伝子の組替えだけでは済まなく、安全で大きな幼体が生まれることが可能な「生殖構造」が必要になります。
雌の生殖負担を重くする「大きな卵」への転換です。そして、卵から孵化した幼体を安全域でより大きくする「子育て」、養育が登場します。
(現生の魚類にも、巣の中で卵を孵化させる「子育て」といえる行動様式が存在します。)
カンブリア紀の大爆発は、単に種の多様性をもたらしたのではなく、成体の生殖構造(雌の生殖負担増大)、そして幼体を庇護する「子育て構造」をも可能性(収束先)として成立させたといえます。

つまりカンブリア紀の種間圧力により生物がより大きな幼体で生まれるという適応可能性に収束した。その結果「大きな卵」への転換が必要になった。というものです。
これで前段のスタート地点につながったのではないでしょうか?この後 栄養を受け持つ雌性配偶子を持った女が充足存在となり、運動能力に特化した雄性配偶子を持った男が闘争存在になっていくのです。 🙂

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