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多細胞生物はなぜ登場したのか?~高度化の戦略(後編)

Posted By tano On 2007年10月26日 @ 1:39 PM In ①進化・適応の原理 | 2 Comments

前稿に続きます。

②保存だけを担う細胞=生殖細胞を作り出すことによって生殖負担がなくなった仕事細胞(体細胞)という専門細胞を作り出し、生命体の体機能の高度化を担っていくことが可能になったのです。

なぜそんなことが言えるのか?②の部分を解説していきます。
生物の最大の課題は種の保存です。生も死も種を保存する為に存在しています。そして種を保存していくには生殖、さらに生存し続けいていく為の摂食が最大の課題となるわけです。
生殖と摂食この2つの課題をバランスよくこなしていくことが生物に求められるのです。
つまり単細胞から多細胞の歴史とは単純化すれば保存細胞と仕事細胞の分化史と見て取れるわけです。
先の単細胞の事例で報告したように生殖というのは生物にとって最大の課題であり最大の負担でもあります。通常であれば生殖機能をどんどん特化した種が進化した生物と考えがちですが、実は反対なんです (一部昆虫や植物などそのように進化した種もありますが)
単細胞から多細胞へ変化していく過程とは体細胞を担う仕事細胞と生殖器官を担う保存細胞に役割分化したことが始まりなのです。
細胞分裂の分化史(なんで屋劇場資料より)
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いよいよ佳境に!
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下等な多細胞生物は群生といってある時は単細胞ある時は多細胞というように可逆性を有していました。しかしそのような多細胞生物はほんの一部でほとんどの多細胞生物は細胞単体では生きることができません。多細胞生物の最大の特徴は当たり前の話ですが多細胞を司る細胞群が単細胞に戻れないという細胞の不可逆性を有したという事です。そしてもう一つ重要なことが多細胞生物の中で唯一の単細胞である精子や卵子はそれ単独では存在し得ない代物であるということです。つまり精子も卵子も合体する事で初めて生存が可能になったのです。
さて、仕事細胞と保存細胞への分化がなぜすごいのか、ここに関しては先日のなんで屋劇場では目から鱗 の視点が提示されました。
我々人間をはじめ動物は極めて精密で複雑な肉体を保持しています。つまり徹底的に高度化した体細胞によって種の保存が可能になったのです。その体細胞を生み出したのが仕事細胞でありひたすら単純分裂を繰り返すことで組織を作り出していきました。思わず仕事細胞君 :o エライ!といいたくなりますが少し待ってください。なぜそのような事が可能になったのか?
生物にとっての最大の負担は生殖です。その最大の負担を保存細胞さん :evil: に負わせることで、負担が軽くなった仕事細胞君 :o ががぜん元気になったわけです。むしろえらいのは保存細胞さん? :twisted:
いちばん凄いのはそのようなシステムを作り出すことで単細胞では生き残れない厳しい環境を克服した多細胞というシステムなのです。その結果、体細胞はどんどん進化していきますが面白いのは生殖細胞が下等動物から高等動物まで殆ど進化していないという事実です。つまり保存細胞を犠牲にすることで進化を遂げたのが多細胞生物でありその頂点に立った動物群なのです。

単細胞時代から多細胞時代をまとめると以下のようになります。

1n単細胞→接合の獲得→2n体の登場→減数分裂の獲得→群体への進化→多細胞生物の発生

多細胞生物→仕事細胞と保存細胞の分化→生殖負担を保存細胞が担うことで負担の軽くなった仕事細胞が高度化を担う《つまり生殖負担を外すことで高度化を獲得した

これを図解化した資料(細胞分裂の分化史)を冒頭にに添付しました。
長く付き合っていただきましてありがとうございます。細胞の気持ち になれましたでしょうか?
生物の事を追求するには細胞の気持ちになれ!、先日議長の土山さんが仰っていたこと痛く感動いたしました。
最後に今回の生物シリーズの最大のテーマであるオスメス分化について・・・実はこれもこの多細胞の分化史に多くのヒントが隠されているのです。なんで屋劇場ではそこには一切触れてもらえませんでしたが、このブログの3回目では大サービスでそこにもちょこっと触れていただきたいと思います。
(by tano)


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