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なんでや劇場「有性生殖へのみちのり」直前復習~減数分裂という不思議

Posted By yama3 On 2007年10月20日 @ 10:36 PM In ①進化・適応の原理 | No Comments

なんでや劇場を明日に控えて、直前復習をしておきたいと思います。
前回のなんでや劇場のミソは既にNANNOKIさんが投稿して下さっています。
原核単細胞から真核単細胞に進化を遂げた事によって、真核単細胞は多様化した各組織の統合と、その仕組みを正確に分裂させ子孫を残す必要に迫られます。そこで獲得した仕組みが有糸分裂です。有糸分裂によって真核単細胞は原核単細胞に比べて格段に変わらない事を獲得することができました。
しかし・・生物とは変わり続けることも同時に求められています。栄養枯渇時や環境悪化時には変わる必要がある。そこで獲得した仕組みが合体です。そしてその合体した細胞がお互いの遺伝子を少しずつ組み換えて少し変化した細胞を作り出す仕組みが減数分裂です。

そこで、減数分裂の仕組みについて復習しておきましょう。(以下は東京医科歯科大学のHPからの引用です。)


減数分裂は、二度の核分裂と細胞質分裂からなり、減数分裂Ⅰ、減数分裂と呼び分けています。以下、各段階の図解です
●減数分裂Ⅰ(前)
Chapt120.jpg
有糸分裂と同様に、減数分裂が始まる前のS期に、染色体は複製され、染色分体がまだ細長い間に、相同染色体同士が縦に並び始んで対合(synapsis)し、4本の染色分体が一つになる。このときの染色体を、二価染色体(vivalent or tetrad)と呼ぶ。 対合によってピッタリとくっつくので、姉妹染色分体の一方同士の間で交叉(乗り換え、crossing over)がおこる(交叉点をキアズマという)。染色分体の乗り換えによって、遺伝子の組み換え(genetic recombination)がおこる。こうして次の代に伝えられる遺伝的な変異が増大することになる。
●減数分裂Ⅰ(中)
Chapt121.jpg
相同染色体のそれぞれのキネトコアは、紡錘糸によって一方の極だけに結び付けられているので、二本の相同染色体はそれぞれ別の極に結び付けられることになる。
●減数分裂Ⅰ(後)
Chapt122.jpg
相同染色体は分離し、別々の極へ移動していく。各極は、父親由来と母親由来の相同染色体のどちらか一本だけをランダムに組み合わされたものを受け取る。ここでも組み合わせの違いによる変異が生じる。
●減数分裂Ⅰの最終
Chapt123.jpg
染色分体はいくらか脱凝縮して核膜が形成され、細胞質分裂が起きる。
●減数分裂Ⅱ(前)
Chapt124.jpg
染色体は分裂の間も部分的に凝縮したままなので、二度目の減数分裂の前期もまた短い。前期Ⅱでは、多くの点で体細胞分裂の前期に似ている。相同染色体の対合は起こらず、交叉もない。
●中期Ⅱ
Chapt125.jpg
中期Ⅱでは、染色体は細胞の赤道面に並ぶ。
●後期Ⅱ
Chapt126.jpg
キネトコアで紡錘糸と結合している染色分体が、体細胞分裂の後期と同様に引き離され、反対の極へ移動していく。
●減数分裂Ⅱ最終
Chapt126.jpg
核膜が形成され、染色体は次第に伸びて染色質を形成し、細胞質分裂が起きる。
連続2回の分裂は4つの一倍体の核をつくり、それぞれが各染色体の1本を持ち、生じる一倍体の細胞はそれぞれ異なる遺伝子の組み合わせを持つ。
 この遺伝的多様性は、次の二つの理由による。
1)父方と母方の染色体が交叉によって混ぜ合わされ、まったく新しい組み合わせが生じる。
2)各対の一方が独立してランダムに分配される。
こうして、両親からの染色体を混ぜ合わせて次の代に伝える生殖細胞が作られる。同じ個体が作る生殖細胞でも、100個あれば100通りの異なる遺伝的組成(違いの大小はあるが)を持つことになる。
以上、http://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/textintro/Chapt11.htm#3章より引用
教科書的には、分裂の部分に多くがさかれていますが、注目すべきは最初の段階で複製化がなされて姉妹染色体がつくられるところです。このコピー化によって、減数分裂は最終的に4つのバリエーションを生み出すことになります。そしてこの4つのバリエーションをうみだしたことで、それ以前のアトランダムな分裂を繰り返していた原核生物以上の多様性を生み出すことが可能になったのです。実は、正確な複製化=変えないこと、があって多様性=変わることは可能になったのです。この減数分裂という不思議こそが、前回なんでや劇場の最大の発見でした。
まとめると前回のなんでや劇場のポイントは3点。
1)適応とは「変わること」と「変わらないこと」の間で絶妙なるバランスをとろうとする行いである。
2)そして生物は、環境本位な分裂とアトランダムな変異発生を繰り返す「無性生殖」から「有糸分裂」そして「減数分裂」という精密かつシステム的な「有性生殖」へと進化していった。
3)とりわけ対合→交叉という高度な同類他者形成システムを持つ「減数分裂」は実はその基盤を「複製化=コピーをとること=不変」においており、「不変=変わらないこと」と「変化=変わること」は実は表裏一体である。

「不変」と「変化」は生命現象の表裏一体というとなにやら謎掛けめいてしまいますが、生命は代謝活動を通して、つまり常に変化することで安定的な形を保っていますから、「不変と変化は表裏一体」は生命原理の基本中の基本ともいうべき構造認識ではないでしょうか?⇒http://www.biological-j.net/blog/2007/06/000228.html#more
>(現代人は)『安定』という概念を『不変』という狭い意味でしか理解していない・・もっと言えば、現代人は『安定』と『硬直』を峻別する構造認識を未だ持ち得ていない
>生物は『不変』と『変異』を包摂することによって、時間という制約を超えて初めて『安定的』な存在と成り得た
すなわち
>『安定』=『不変』+『変異』
なのですね。⇒
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=161317


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