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ゲノム変化

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ヒトゲノムは、約30億塩基対のDNAからなる。大腸菌ゲノムが約480万塩基対であるのに対し、桁違いに大きい。初期生命体のゲノムが大腸菌と同サイズだったとすると、ゲノムサイズを35億年で約1000倍にしたことになる。
種の形態変化は、ゲノム構成の変化によってもたらされる。では、ゲノム自体はどのように変化するのだろうか?
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■レトロポゾン
生物を形作るタンパク質は、DNA情報により生成される。その仕組みは、DNA情報が、RNAによって細胞内のリボソーム(=工場)に伝達され、その情報によりタンパク質が生成される。レトロポゾンは、このプロセス中に逆転写酵素によって、RNAをDNAに戻してしまう働きを行う。言わばDNAをコピー&ペーストしているのがレトロポゾンだ。この仕組みによってゲノムサイズは拡大することができる。
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■トランスポゾン
トランスポゾンは、レトロポゾンと基本的な仕組みは同じだが、読み取るDNAをそのまま切り出してしまうことに特徴がある。DNA情報をカット&ペーストしている。
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■ゲノム水平転移
最新の研究では、ウイルスのような形で、生物種を越え、DNAをコピー&ペーストするゲノム水平転移も確認されている。産業技術総合研究所 [4]
上記のようなダイナミックなゲノム変化が日常行われているのなら、突然変異の可能性が飛躍的に増大する。突然変異は、必ずしも外圧適応しない為、種によっては、一瞬にして絶滅してしまう恐れがある。しかし現実はそうなっていない。

DNA転移や増加は、遺伝情報が認識されにくい末端付近にペーストされることが確認されている。また不安定な為、読み取り時にRNAが認識しない。つまり種の形質としては発現しない。こうして、ゲノム変化は不活性なまま種の中に温存されていくことになる。

35億年の生命史を概観すると、3回の革新がある。最初は真核生物の誕生。次は多細胞生物の登場。そして脊椎動物の誕生だ。この3つの革新の前に。DNAレベルでの広範な重複が起きていることが分かっている。

この3つの大進化時、地球環境が激変したことも推測されている。スノーボールアース [5]
生命は逆境に立たされたとき、今まで保存していた不活性ゲノムを活性化させ、適応可能性を探すのではないだろうか?
タニザキ
引用文 日経サイエンスより抜粋

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