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ゾウリムシの仲間、繊毛虫類の大核と小核

ゾウリムシは小核と大核を持ち、小核が生殖核として遺伝子の保存の伝達を担い、大核が栄養核として日常的な代謝活動を担っています。ゾウリムシで、どの様に大核と小核が形成されたのかを推測するため、ゾウリムシの仲間である、せん毛虫類の大核と小核について調べてみました。
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この画像は原生生物図鑑 [3]せん毛虫 [4]より転載しました


ゾウリムシの核の基本形は大核と小核がひとつづつですが、種類によっては大核が複数あったり、小核が複数あるものもあります。さらに、大きさは見かけ上同じ大きさで、機能的に生殖核と栄養核に分化した核を持つものもあります。リンク [4]
コルポダ綱のキルトロフォシス目では小核は大核の核膜に包まれているそうです。リンク [5]
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原始大核綱は有性生殖の時だけではなく、通常の体細胞分裂でも、小核だけが分裂し大核は分裂後に小核から作り直されてます。リンク
リトノタス属の説明には大核が2個あるとの記載があります。リンク [6]
ラッパムシは数珠状の大核を持っているそうです。リンク [7]
ラッパムシの構造はこちらのサイトに図があります。リンク [8]
このような流れを見ていると、遺伝子の保存のために、まず核が複数になり、複数の核が同じ大きさのまま機能的に栄養核と生殖核に機能分化し、栄養核は代謝機能に特化し肥大化、生殖核は遺伝子保存に特化し縮小し大核と小核を形成。その後、栄養核である大核の代謝機能を高めるために大核がさらに肥大化したり複数化する。このようにして核の数や大きさに様々な多様性を持たせながら進化していったと考えられます。
ゾウリムシも普段は小核と大核がそれぞれ一つずつですが、有性生殖の過程を見ると、小核の数は1つから最大8つに増減し、大核も最大2つに増減します。そして、最終的には大核は消失し、分裂した小核から大核がつくられます。この過程も、ゾウリムシの核進化の過程を反映しているのかもしれません。
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この画像は水中微小生物図鑑 [9]ゾウリムシの接合 [10]から転載しました。
ここには、ゾウリムシの接合のアニメーション [11]もあります。その過程の複雑さには驚かされました。一見の価値ありです。

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