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まず生殖細胞が分化した

 単細胞生物から多細胞生物への進化を考える上でモデルとなる生物には、粘菌、カイメン、ボルボックス等がいますが、どの生物も飢餓状態になると生殖細胞を作り始める点が共通しています。
 
また多細胞生物の発生上、生殖細胞は三胚葉の分化に先駆けて最も早く分化します。
http://www.biological-j.net/blog/2007/07/000251.html [1]
このことからも、生殖細胞の登場は多細胞生物にとって極めて根元的な位置にあるものと考えられます。
 
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具体的に見ていくと…。まず、粘菌の場合。

粘菌はアメーバー状の単細胞で細胞分裂を行っていますが、栄養状態が悪くなると単細胞同士が集まり、集合体をつくって移動し、さらに子実体と呼ばれる植物のような形態となり、胞子を作ります。これを生活環と呼んでいますが、単細胞から多細胞へと変化し、さらに多細胞が体細胞と生殖細胞(胞子)に分化するのです。
http://www.biological-j.net/blog/2007/07/000252.html [5]

 
ボルボックスの場合。

ボルボックスでは、細胞の役割が大きく2つに分化しています。ひとつは「生殖細胞」、もうひとつは「体細胞」=鞭毛を動かす細胞です。1種類の体細胞と生殖細胞からなる極めてシンプルな多細胞体制です。
http://www.biological-j.net/blog/2007/07/000250.html [6]

 
単細胞生物から群体あるいは多細胞生物へ進化する際、まず初めに生殖細胞が機能分化しています。つまり、生殖細胞と体細胞への分化です。粘菌やボルボックスなどがその代表と言えます。カイメンなども栄養状態が悪化すると芽球を出し、世代交代の準備に入ります。
428px-Haeckel_Calcispongiae.jpg
様々なカイメン(ウィキペディアより http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%B3 [7]
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シロカイメン(島根レッドデータブックより http://www1.pref.shimane.lg.jp/contents/rdb/rdb2/cnt/cnt208a.html [8]
 
つまり多細胞化とは、生物として最も重要な生命の連続性を維持する機能を、生殖細胞に委ねたこと、と言ってもいいのではないかと思います。そうすることで多細胞生物の体細胞に於ける様々な遺伝子の機能発現が可能となり、より複雑な構造へ適応的な進化を遂げることが可能になったのではないでしょうか。
 

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