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二つの時代を生きる植物:シダ

Posted By trend On 2007年8月30日 @ 9:04 PM In 未分類 | 2 Comments

人生イロイロ。シダもイロイロ。
シダの人生、もとい生活史(≒ライフサイクル)を調べると、二つの時代を生きていることがわかります。
わたしたちが普通に見るシダの時代、そして普通は気づかない「前葉体」という時代。
シダの時代が高等植物につながる、より進化した時代なのに対して、前葉体の時代はその前の
コケ植物の時代の性質を受け継いでいる古い時代です。
新・旧二つの時代を生きるとは、どういうしくみなのでしょうか。
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前葉体とシダの違いを整理すると下のようになります。
                    前葉体         シダ          
大きさ               小さな葉状体     ワラビのような形
                   普通1cm以内    普通10cm以上
茎・根               茎なし、根は仮根   茎・根あり
生殖:次の世代への増え方  精子と卵で増える   胞子で増える
染色体数             半数(n)        倍数(2)
寿命                普通1年以内     1年以上
シダ→前葉体→シダ→前葉体→シダ→前葉体→・・・・・
二つの時代を交互に繰り返しています。
前葉体はシダに比べて小さく、寿命も短く、湿ったところの地表にはりつくようにしてあるため、
普通のひとが気づくことはほとんどありません。
ただ、梅雨の頃に陰湿地を注意深くみると、比較的簡単にみつかります。
この前葉体では裏面に精子と卵がつくられて、受精します。
精子が水の中を泳いで受精し、この受精卵が発芽すると、
普通わたしたちがみるシダになるのです。
そして、シダの葉の裏につくられた胞子が風に飛ばされて湿ったところに落ち、
発芽するとまた前葉体になるのです。
多くのシダではひとつの胞子から発芽した前葉体の中に精子と卵がつくられます。
しかし一部のシダ、例えばクラマゴケやサンショウモでは精子をつくる胞子(小胞子)と
卵をつくる胞子(大胞子)が別になっています。胞子に雌雄の区別があるのです。
一つの前葉体の中に精子と卵ができると、前葉体は小さなものですから
同じ前葉体の精子と卵が受精する確率が高くなります。
その精子と卵はほとんど同じ遺伝子をもっているので
受精卵は親と同じ遺伝子をもつことになります。
胞子の雌雄分化
有性生殖は精子と卵が受精することによって親とは違った遺伝子の組み合わせをもった
受精卵や子がつくられ、そのことが個体の遺伝子の多様性をもたらしています。
シダ植物から次の段階の裸子植物へと進化したのはこのような胞子に性の分化が起こった
仲間からでした。
シダ植物は精子が泳ぐ水を必要とします。陸上生活のシダが水の中に精子を出すのは
雨のときです。雨がなかったら受精させることができません。
シダの仲間のワラビやウラジロは乾燥地にもあります。
実はこれらのシダも前葉体で受精する時は水が必要です。受精して育った小さなワラビは
やがて地下茎を伸ばし、何年もかけて周囲に拡がっていきます。
乾燥地にあるシダはこのようにして増えたものです。
二つの時代を循環しつつ、ついには性の雌雄分化をはかり、
さらには水との決別を試行し、実現したシダ・前葉体。
彼らの飽くなき適応追求が、人類に「花 」という癒しを
もたらしたといえるかもしれません。
by うらら
参考文献:小林正明著「身近な植物から花の進化を考える」東海大学出版会


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