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病原菌と抗生物質

Posted By kawait On 2007年8月19日 @ 8:02 PM In ⑤免疫機能の不思議 | 3 Comments

最近、子ども達が病院にかかって告知される病名がやたらと複雑 :roll: になってきています。
マイコプラズマ肺炎とか、溶連菌感染症とか。恐らく、子育て中のママさんたちの間では当り前のように使われている病名ですが、初めて聞く方も多いのではないでしょうか?
一昔前であれば、「風邪ですね。」と一言で片付けられていたような気がする病気 にも、その原因がだいぶ突き止められ、細かく分類されるようになってきたんですね。
これら様々な病気の原因となっているのが、病原菌。
そして、それらの細菌に対抗すべく作られたものが、抗生物質といわれる薬ですが、実はこの病原菌と抗生物質にはいたちごっこの闘いの歴史があります。
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インフルエンザなどは、毎年のように新種が表れる事で有名ですが、細菌も自然の摂理に従って生きている生命体である限り、様々な適応戦略を身に付けているという事は、誰にでも理解できる事ですね。
病原菌と抗生物質との関係を解りやすくまとめられているサイトがありました。
薬の効かない病原菌 [4]

【薬剤耐性菌の出現と拡散のしくみ】
 細菌が薬剤に耐性となるしくみは主として二つあります。その一つは、細菌が増殖する過程で突然変異によって耐性の遺伝子を持つことによるものです。もう一つは、耐性をもっていない細菌が耐性遺伝子をもっている菌から二次的にその遺伝子を獲得することによって耐性化するものです。これは、バクテリオファージと呼ばれる細菌につくウイルスが遺伝子を運んだり、菌と菌との接合という現象によって遺伝子を送り込むことで耐性を獲得します。
 病原菌など細菌は分裂することによって増殖します。その速さは菌の種類や条件によって異なりますが、良い条件では20~30分に1回分裂し、大変な速さで増殖していきます。その中に、ある抗生物質に対する耐性菌が新たに出現したり、あるいは混入していた場合、その抗生物質を使えば、ほとんどの菌は増殖できず死んでしまいますが、耐性菌だけは増え続けることになります。
 したがって、抗生物質を必要以上に多用することは耐性菌の出現や拡散の機会を増やすことにつながるわけです。

【抗生物質の濫用は病原菌の逆襲を招く】
抗生物質は、医療の分野だけでなく畜産業や水産業においても家畜や養殖魚の病気の治療や予防、さらには発育の促進の目的にまで飼料に添加され使用されてきました。いわば抗生物質が濫用されてきたと言っても過言ではありません。
このような背景によって、いろいろな病原菌で複数、それも多数の種類の抗生物質に耐性をもつ多剤耐性菌が検出されるようになっています。このような「薬が効かない病原菌」をこれ以上増やしてしまっては大変です。
 平成11年4月から施行されている「感染症の予防・医療法」には、四類感染症の中に破傷風、インフルエンザ、麻疹などとともに患者の発生情報を収集する目的で四つの薬剤耐性菌による感染症が含まれています。バンコマイシン耐性腸球菌感染症、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症及び薬剤耐性緑膿菌感染症です。これらは免疫力が低下している人が罹ると重症化する可能性があり、とくに動向を見守る必要がある感染症です。
 薬剤耐性菌を増やさないためには、「むやみに抗生物質を使わない」、「抗生物質は、必要なときに、適切な期間、適切な量を使う」ことが必要なのです。

自然の摂理に学ぶ構造として、逆境からの進化、という説は当ブログやるいネット [5]においても多数紹介されていますが、ここ数年増え続けている沢山の病気は、まさに人類が人工的に作り出した逆境が病原菌などの細菌を進化させ、自らの首を絞める結果となってしまっている、ということなんです。なんとも、一面的な事実だけで物事を解決しようとしてきた浅はかな知恵の、反省すべき側面ですね。
元々、生物には共生の歴史があり、例えば花粉症の増加は体内の寄生虫が絶滅した事による免疫不全(元々寄生虫への耐性として備わっていた細胞の役割不全によるアレルギー現象。当ブログでも以前に紹介されています。「清潔信仰」が自己免疫疾患を呼ぶ① [6])が原因である、という説もあります。
また、敵対生物に対しては、体内の抗体(免疫機能)や、細胞そのものにも病原菌を分解する仕組みが備わっている事も解って来ています。
参考:病原菌を分解する細胞内システムを新たに発見 [7]
画像引用元も同様
zu5.jpg [8]
図5 A群レンサ球菌の非免疫系細胞内での運命の模式図。
左図: 通常の非免疫系細胞に感染したA群レンサ球菌はまずエンドソーム内に入り、次に自身の持つ溶血毒素SLOを用いて細胞質へ脱出して増殖・生存を計る。しかし、細胞質内に現れたA群レンサ球菌は、何らかの方法で認識されオートファゴソームによって捕獲・分解される。
右図: もしオートファジーが起こせなくなると、菌は細胞質で増殖し細胞外へと出ていくので感染が拡大する。
特に現代人は、清潔信仰の流れから自らの免疫機能低下をもたらし、ただでさえ病気にかかりやすい状態に加え、猛スピードで薬への耐性を身に付けている病原菌に対し、むしろ医学の専門領域が最も危険性を増加させているという矛盾を孕んでしまっているのです。
改めて、当ブログテーマ
「自然の摂理に立脚した社会原理を確立するためには、生物進化史の解明が必要になる。」という事の重要性を認識させられました。
記事:かわい


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[4] 薬の効かない病原菌: http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/031801/tayori/topics/Vol24/24MRSA.HTM

[5] るいネット: http://www.rui.jp/ruinet.html?t=1200&k=1

[6] 「清潔信仰」が自己免疫疾患を呼ぶ①: http://www.biological-j.net/blog/2007/01/000039.html

[7] 病原菌を分解する細胞内システムを新たに発見: http://www.jst.go.jp/pr/info/info123/index.html

[8] Image: http://www.biological-j.net/blog/zu5.jpg

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