2007-07-07

有性生殖と遺伝子の多様性

mimov2.gif減数分裂動画(東京医科大学Genetics Study Groupより)
これまで見てきたように、生物が増える方法には無性生殖と有性生殖があります。無性生殖の場合は単純にもとの細胞のコピーを作る体細胞分裂により行われており、有性生殖は多様な変異をもった新たな子孫を生む生殖細胞をつくる減数分裂という過程を経て行われています。
同じ細胞分裂という名前ですが、そのときに遺伝情報を担っている染色体がどの様な動きをしているかを見ると大きな違いがあります。そこに生命の多様性の秘密があります。
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無性生殖と有性生殖の違いを説明する前に、染色体の基礎知識を説明しておきます。染色体は細胞の核の中に入っている物質で、遺伝情報は染色体に蓄えられています。染色体は人間だと46本ありますが、2本づつが対になっていて23対に分かれます。この対になっている染色体のことを相同染色体と呼んでいます。
%E6%9F%93%E8%89%B2%E4%BD%93%E7%94%B7%E5%A5%B3.jpg(中国科普博覧より)
この相同染色体は、形態、塩基配列、大きさなどが相等しい一対になっていて、一つは父親から、もう一つは母親から受け継いだものです。相同染色体上の同じ位置には、それぞれ同一の遺伝子か対立遺伝子があります。
また、染色体は何から出来ているかというと、2重螺旋で有名なDNA(デオキシリボ核酸)という物質から出来ています。そして、染色体の中には沢山の遺伝情報が含まれており、その一つ一つの遺伝情報のことを遺伝子と呼び、ある生命の遺伝情報の全てをゲノムと呼んでいます。
%E6%9F%93%E8%89%B2%E4%BD%93.gif
さて、本筋の細胞分裂ですが、まず単純に細胞のコピーを作る体細胞分裂から見て行きます。細胞分裂に先立って、核の中では染色体の複製が行われています。よく、染色体の顕微鏡写真など出てくる、X型の染色体は複製が終わって、分裂前の状態になっているものです。X型を縦に割った半分Ⅰ型のものを染色分体といいます。そして、染色分体同士が接合している部分を動原体と呼んでいます。
Chapt111.jpgChapt112.jpg
細胞周期と細胞分裂東京医科歯科大学教養部生物和田勝氏の生物学基礎より)
細胞分裂の際には染色体が細胞の中央に並び、細胞の両端から延びてきた紡錘体と呼ばれる紐のようなものが、X型の接合部である動原体の部分にくっつき、両側に引っ張ることで染色分体がⅠ型二つに分裂し、細胞の両側に分かれて集まります。そして、この二つの間に膜が出来て二つの細胞に分かれます。人間は23対46本の染色体がありますが、46本のXがそれぞれに分かれて46本のⅠと46本のⅠに分かれます。そして次の細胞分裂までの間に、Ⅰが複製されてXになり、また分裂するということを繰り返します。
%E7%B4%B0%E8%83%9E%E5%88%86%E8%A3%82.gif
生物化学専攻案内 – 研究室紹介 – 分子細胞生物学研究所より)
これに対して、生殖細胞をつくる減数分裂はかなり違った工程をたどります。まず、染色体の複製が進みX型の染色体が出来るところまでは同じですが分裂の仕方は全く違います。生殖細胞では、X型が細胞の中央に集まると、まず相同染色体同士が対合した二価染色体という状態になります。形はXXという感じです。
そして、ここでそれぞれの染色体の一部を交換します。二価染色体になっているときに染色体の一部を交差させます。そして、二価染色体が分かれて元に戻るときに交差した部分で分かれることで、染色体の間で乗換えが行われます。この乗換えという現象により、遺伝子の組み合わせの一部が変わる、遺伝子組み換えが行われます。遺伝子の組み換えを行ったうえで、分裂が行われるのです。
そして、減数分裂の第一段階は、二価染色体XXの状態から遺伝子の一部を交換してXとXに戻った相同遺伝子が二つに分かれます。23対46本の遺伝子はそれぞれX型のまま、相同遺伝子同士が分かれて23本が一組になり二つに分かれるのです。体細胞分裂では46Xが46Ⅰ+46Ⅰに分かれたのに対して、減数分裂では、46Xが23X+23Xの二つの細胞にまず分かれます。染色体の数が減少することから減数分裂と呼ばれているのでしょう。
そして、さらにこの細胞のそれぞれが23Xから23Ⅰ+23Ⅰの二つに分裂し、23Ⅰの染色体を持った4つの生殖細胞が出来上がります。そして、オスの23Ⅰとメスの23Ⅰが組み合わさるのが受精であり、受精することで23組46本の染色体がそろった受精卵が出来上がり、体細胞分裂をはじめ新しい個体を作っていきます。最初の動画がこの過程を表しています。分かりやすいので再掲しておきます。
mimov2.gif減数分裂動画(東京医科大学Genetics Study Groupより)
有性生殖では遺伝子の多様性を生み出す方法として、染色体の乗り換えによる遺伝子の組み換えと、相同遺伝子の組み合わせを変えるという、二つの方法がとられています。
通常の体細胞分裂では、分裂前と後で全く同じ遺伝情報が伝わりますが、減数分裂では大幅な情報の組み換えが行われます。23対の相同遺伝子を組み替えることで、2の23乗=838万8608通りの組み合わせが可能になります。これにさらに遺伝子の組み換えが加われば、無限に近い多様性が確保されます。

List    投稿者 nodayuji | 2007-07-07 | Posted in ①進化・適応の原理1 Comment » 

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コメント1件

 匿名 | 2007.08.02 18:00

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