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赤ちゃんの鳴き声のヒミツ

本日は、哺乳類の聴覚進化の背後に秘められた、「赤ちゃんの鳴き声のヒミツ」に迫ります。
誰もが直ぐに反応してしまう、甲高い赤ちゃんの泣き声。
その背後には、恐竜時代と言う逆境の中で進化してきた、哺乳類の驚くべき進化史が存在しているのです。
まずは、哺乳類の聴覚がどのように進化してきたのかを、抑えましょう。
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2006年10月17日の記事で、シミズさんが哺乳類の聴覚進化に触れています。

>原始哺乳類が生き抜いた中生代(三畳紀~白亜紀)は、1億5000万年以上にわたって、恐竜 (大型爬虫類)がこの地球上の制覇種として君臨していた時代だったのですね。つまり、哺乳類の進化は、恐竜の進化と表裏一体で進んできたわけです。ここで原始哺乳類のとった適応戦略は・・・恐竜たちが徘徊する昼間は身を潜め 、彼らが活動しない夜中を行動の場とする!でした。そして、哺乳類は身体は小型(およそ10~15cm前後)のまま、夜の世界で順応するために様々な進化を遂げます。そのひとつが聴覚の進化です。哺乳類は顎の一部を変化させ、3つの耳骨を持つようになり、鼓膜の振動をより増幅できるようになりました。また、内耳の蝸牛を収めるスペースも拡大させました。このことにより、哺乳類は広い音域を捉えることが可能になったのですね。哺乳類は昆虫が発する高周波の音を頼りに、暗闇の中で虫を捕らえていたと推測されます。

恐竜が制覇する昼の世界を逃れ 夜の世界に適応可能性を見出したことが、哺乳類の聴覚進化の原動力となった訳です。
”3つの耳骨”のうち、鼓膜に近い「ツチ骨」とさらに内側の「キヌタ骨」は、音の振動を内部へと
伝える「橋渡し」の役割を持ち、テコの原理で振動が増幅されるようになっています。
哺乳類の耳は、この構造によって、小さな音や高周波の音が聞こえやすくなっているのです。
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この「ツチ骨」と「キヌタ骨」は爬虫類にはない、哺乳類だけの特徴です。
現在確認されている、この耳の進化を遂げた最初の哺乳類は、ジュラ期に存在していたラオレステスと言う小型哺乳類で、これ以降、哺乳類は基本的に同じ構造の耳を持つことになりました。
耳の進化によって、哺乳類は特に高周波の音をとらえる能力に優れることとなったのですが、この高周波の音は、恐竜や爬虫類には明瞭に聞くことができません。
人間に限らず、哺乳類の赤ちゃんの泣き声は例外なく甲高い=高周波の音となっていますが、その理由も、この耳の進化と関連していると考えられています。
最弱の存在である赤ちゃんの泣き声=危険信号は、親に確実に聞き取られなければならないが、大音量の泣き声を発すれば、敵を呼び寄せることになってしまう。
だから、哺乳類の赤ちゃんの鳴き声は、哺乳類には確実に聞き取れるが、恐竜や爬虫類には明瞭に聞き取れない高周波の甲高い音になっているのだそうです。

人間も、この哺乳類の基本構造の上に進化してきた為に、やはり高周波の音に対する感受性が強く、甲高い赤ちゃんの鳴き声には直ぐに反応するようになっています。これは私たち自身、良く実感するところですね。
このように、日々我々が当たり前に使っている感覚機能の背後にも、逆境の中で進化してきた哺乳類の進化積層構造が存在しているのです。
人類史、生物史に感謝 😀
参考・引用元 NHKスペシャル「恐竜VS哺乳類」
画像引用元  http://ameblo.jp/oldworld/entry-10014769540.html [4]

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