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テレビは共認機能を刺激しない

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他の動物のように鋭い牙も、角も持たない極限時代人類は外圧に適応する戦略として、脳、共認回路を発達させることで、生き抜いてくることができた。その人類の脳進化の歴史と同じように、現代でも赤ちゃんは生れ落ちたのち、外圧に適応するために急激に脳を発達させていく。だが、その脳回路が発達する「乳児期にテレビ・ビデオ視聴すると良くない」と、いわれているものが、外圧適応に実際にどんな影響を与えているのか、科学的な根拠がなかったし、赤ちゃんはどんな状況なのかわからなかった。
るいネットの『テレビが乳幼児に与える影響』 [1]によると


子供がテレビを見ている時の顔って生気が抜けた表情になっていますよね。私も昔子供のお迎えに行ったときに、テレビに向かってみんな口を開け目の焦点が定まっていない子供たちを見たとき、寒気がしたのを思い出します。
先日子供が通う幼稚園に岩木敏之氏が講演に来られ、テレビが乳幼児に与える影響について興味深い話がありました。岩木氏の言うには、年齢にもよるとは思いますが、子供はテレビを見て理解しているのではなく、ある種の錯乱状態になっているようです。
乳幼児がテレビを見て理解しているか否かを判断する一つに『模倣』がありますが、ある調査によると1歳になるまではテレビからの模倣は見受けられずせいぜい拍手の真似程度、また1歳児以降も簡単な言葉や行動の模倣はあるが、複合的な理解は出来ていないであろうことが明らかになってきています。
また幼児向け番組から流れるお兄さんの体操を毎日見続けているにも拘らず、番組に応募し、いざお兄さんと一緒に踊ろうとすると全然踊れない=理解していない、という現象もその一つの現われです。
テレビは視聴率を得るために日常ではありえないような目まぐるしいシーン展開が流れていますが、乳幼児にとっては殆ど理解できず頭が錯乱し、テレビから目を離すことが出来ない状態になっているようです。
また、テレビから流れる時間や空間を飛び越えた情報内容や、テレビでは伝えられない匂いや触感などを理解する為には、一定の観念能力と過去の経験が必要になってきます。これら能力や経験のない乳幼児段階からテレビを見ると、五感や観念能力の未発達を引き起こす事も明らかになってきつつあります。
乳幼児はまず母親との同化→模倣を原点として様々な言動を獲得していきますが、母親との接触時間の少なさとテレビへの依存度との相関も明らかになっており、母親という同化対象の喪失と、同化機能が十分に働かず脳が錯乱してしまうテレビへの依存によって、二重の被害が出ているといえるかもしれません。
NHK放送文化研究所
http://www.nhk.or.jp/bunken/new/new_03100101.html [2]
岩木敏之氏のインタビュー
http://www.yuchan.net/yuchan/interview/08.html [3]


乳幼児はまず母親に同化し、同じ事を真似することで様々な言動を獲得していく過程は、死ぬでまで共認機能を使って同化していく=脳回路を繋げて、外圧に適応していく基礎なのだと感じる。外圧に適応していけるかどうかの脳回路、共認回路を作る時期に、同化対象となる母親とのスキンシップが足りないこと、テレビを見せて混乱させてしまうことは、脳、共認回路の発達を損なうし、対象性を失いかねないと感じる。テレビは共認機能を発達させたり刺激したりはしないのだと感じた。

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