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原人の拡散と絶滅

人類は、180~200万年前にアフリカを出て、拡散の旅に出た。それは、生きるか死ぬか分からない決死行であったが、人類は共認機能を武器にして奇跡的に延びてきた。
しかし、東アジア(スンダランド、中国)に拡散した原人は、25~30万年前に絶滅した。
現在にいたるホモ・サピエンスは、原人から繋がるものではなかった。
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人類の拡散は決死行

約200万年前、本格的氷河期の開始。アフリカは乾燥化・砂漠化が進行。そのため、人類は食糧を求め、乾燥の比較的ゆるい北方へ拡散を開始した。

素手でまともに闘ったのでは小動物にも勝てない。移動生活では、いつ安全なねぐらにたどり着き、食料にありつけるかも分からない。人類の拡散は生死をかけた決死行だ。そのような過酷な外圧状況の中では、人類は頭=観念機能を使い、チームワーク=共認機能を進化させるしかなかったに違いない。

そのうち、アジアへ南下した一群がジャワ(スンダランド)へ到達。スンダランドの気候は温暖・湿潤で安定していた。
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100万~80万年前、 インドネシアにいた原人(ジャワ原人)

スンダランドは気候は比較的良好だが、100万年以降から氷期と間氷期の周期に合わせて陸地の水没が繰り返し起こっていた。そのため、スンダランドに到着した原人の一部が中国へ北上した。
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60万~50万年前、中国にいた原人(北京原人)

ジャワ原人の遺跡には、石斧などの石器は無く、狩猟ではなく採集中心の生活をしていたと思われる。北京原人の頭蓋骨には脳味噌をすすった跡があり、彼らには「食人」という行為があったと言われている。いかに凄まじい生存圧力の中で生きていたかが窺える。

原人は自然外圧に適応できずに絶滅した。

原人が絶滅したのは25~30万年前。ちょうど25万年前~30万年ごろは氷河期への突入時期に当たる。
Phanerozoic_Climate_Change.png

この時代、原人と旧型新人は共存していたわけだが、それぞれ生息域は、原人:東アジア 旧型新人:ヨーロッパと分かれており、接触していない。そのため、掠奪・侵略等の同類闘争によって絶滅したとは考えにくい。常に極限的自然外圧に晒されていたことから、仲間割れするような余地はなく、同族同士の殺し合いによって、絶滅した可能性も考えにくい。

絶滅した理由は、同類闘争ではなく、自然外圧にある。おそらく、原人は、新人に比べて共認機能も観念機能も未発達だったため、この氷河期の極限的自然外圧に適応できずに絶滅した。

共認機能と観念機能をより先鋭的に進化させた新人だけが唯一生き残り、世界中に拡散することが出来た。

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