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人類誕生の諸説(サバンナ/ネオテニー/アクア)を“外圧”で斬る!

みなさん、こんにちわ~(こんばんわ~) 😮
シリーズ“祖先の物語”も最終章に入っていますが、このあたりで、最後の最後の最後の、“人類誕生のとき”について、その諸説を紹介したいと思います。
検索してみたら、主流説・主流批判説・異端説と3説に渡る紹介があって、『逆境進化(外圧進化)』 という視点による検証もある記事を見つけましたので、特に脚色することなく、そのまま掲載します。(たまには、そーゆーのもアリかなと


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人類誕生の契機となった外圧(1) 主流説・サバンナ進化 [2]■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

現在の主流をなす説は、「サバンナ適応説」です。1000万年~500万年前の気候変動により、森林が後退し、サバンナが広がって行った。この新たな地上条件に適応進化したのが、ヒト類(二足歩行へと適応して行った種)という訳です。
この説では、2つの要素が都合良く組み合わされます。
まず、新たな生態域としてサバンナが、森林周辺に登場し、その生態域は、生物にとって可能性に満ちた領域として仮定されます。
一方、突然変異で、二足歩行に便利な足と体骨格の変異が起こったとします。
つまり、サバンナに進出した原チンパンジーの中に、突然変異が起こり、ナックルウォークから、直立二足歩行に転換したというものです。
或いは、突然変異によって、木に登れなくなった原チンパンジーが、その足のハンディでも、相対的に生存可能な「サバンナ」で生き延び、進化した。
この説の難点は、進化を必然化させる外圧が非常に弱い点です。
現生のチンパンジーは、樹上と地上の両方に跨って生活しています。身体を大きくし、集団力もありますから、地上に降りたところで、他の肉食動物にそう簡単には、群れ全てが捕食されてしまうことはありません。サバンナが広がって行ったときに、チンパンジーのまま、部分適応して行くことが可能だったと思います。ナックルウォークという歩行スタイルを獲得していますので、あえて、身体全体の骨格を変えてまで、直立二足歩行にならなければならない必然がありません。
「連続適応進化説」である「サバンナ説」があげる、森林の後退は、外圧水準としては低すぎると思います。

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人類誕生の契機となった外圧(2) 主流批判説・ネオテニー進化 [4]
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「連続進化説」は、あまりにも都合の良い「突然変異」を導入しますので、それへの批判として、「ネオテニー進化説」が登場しました。 ネオテニー=幼生成熟。
生物の中には、幼生から変態して、成体になるタイプがあります。オタマジャクシから蛙への変態です。
一般には、変態して成体にならないと、生殖器官が発達しませんから、幼生のままでは種としては生存できません。しかし、幼生の形態のまま、性的な成熟を果たす生物が幾つか見つかっていて、それを幼生成熟(ネオテニー)といいます。
変態するか幼生成熟になるかは、変態できる環境条件による。
メキシコに、サンショウウオの仲間であるアホトールがいます。サンショウウオは、普通、鰓を失って水から上がり、肺呼吸する変態を経て、成体になります(性成熟します)。しかし、地上が熱波でカラカラに乾いてしまうと生きれませんので、水中で性成熟する方法を編み出した。これが、アホトールの「幼生成熟」です、アホトールを充分湿った水辺を用意してやると立派に変態し、地上性のサンショウウオになります。
このネオテニーという現象をチンパンジーからヒトへの進化に当てはめたのが、「ネオテニーヒト進化説」です。
子供チンパンジーと大人チンパンジーを比べると、顔のつくり、頭と身体の比率が圧倒的に違う。子供の顔つきは、扁平でまだあごが前に突き出していない。大人チンパンジーよりも、ヒトの顔の方に近い位である。頭でっかちで、これもヒトに良く似ている。それに対して、性成熟を果たした大人チンパンジーは、あごが突き出た顔つき、頑丈な身体に小さ目の頭が載っていて、明らかにヒトとは身体構造が違う。
ここから、原チンパンジーの中から、幼生のママ性成熟していった系統が、ヒト類であるとの説が登場しました。「ネオテニーヒト進化説」です。
確かに、頭でっかち、子供チンパンジーは毛が薄い、胎児の段階で、足の指が向かい合うのをとめてしまえば、全て一方を向いた指を持った子供が生まれてくる。
胎児段階までさかのぼって、ネオテニーというメカニズムが働くと、成熟を引き伸ばされたチンパンジーから「ヒト類」が登場する可能性がありそうです。
しかし、幼生成熟しなければならない必然=外圧が、ネオテニー説では余り言及させません。

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人類誕生の契機となった外圧(3) 異端説・アクア起源説 [6] ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

一旦、地上進出した動物の中から、新たに水中生活に進出した動物が居ることに注目した説です。
全ての地上動物には、主に水中適応した種が必ず居ます。爬虫類では、昔の魚竜・今の亀類、鳥類ではペンギン、哺乳類ではクジラやアシカなど。
哺乳類で、水中適応して行った種では、以下のような特徴が見られる。
体毛は少なく、滑らかな皮膚をもち、皮下脂肪の層は厚い。体の骨格は直線系になりやすい。水中で呼吸を止める本能を獲得している。
ヒト類が原チンパンジーから分岐したと見られている1000万年~500万年前に、東アフリカの大地構帯で、劇的な環境変化が起こったのではないかと仮説が提示されています。
ヒト類の発生の場所と考えられている東アフリカ大地構帯は、今でも海抜マイナス地帯だったと思いますが、この大地構帯が、ある時期、海になってしまった。森林、草原という地上環境から、殆どが水没してしまい、僅かな島だけが残る時代があった。
この、大水没時代を生き延びたチンパンジーが、ヒト類の祖先である。これが、「人類アクア起源説」の提示です。(エレイン・モーガン女史の「人は海辺で進化した」です。)
この原チンパンジーが遭遇した「外圧」は、絶滅の危機といえる程の外圧です。
モーガン女史は、人の特徴といえる点を「体毛」「皮下脂肪」「発汗」「涙」「胎児の水中動作」「人の潜水能力」「性交体位」「水中での立位と二足歩行の関係」など、詳細にわたって展開して行きます。
その中で、なっとく出来るのが、サル類の中での、水に対する恐怖の違いです。
霊長類のうち、ゴリラやチンパンジーは極度に水中を怖がるが、ヒトは潜水まで出来る。
生後1週間でも、水の中でおぼれずに本能的に呼吸を確保できる。特に、ハイハイする前の乳児は、皮下脂肪がたっぷりあり、浮力に優れている。どうも、本能的に呼吸を止める事が出来るようである。
もう一点、なっとく出来るのは、出産の特徴です。
イルカの出産は、当然水中だが、生れ落ちた胎児は、母親が介助して浮上させ水上に出してやると初めて肺呼吸をスタートさせる。ヒトの水中出産の場合も同じで、水中に出てきた胎児は、その段階ではまだ呼吸を止めていて、水から上げてやると初めて肺呼吸を始める。
出産の時に、産湯につけると「オギャー」と第一声を発して、呼吸を始める。イルカの出産と近いものがある。(チンパンジーの水中出産の実験をしてみたらよいのだが、誰もそれを検証しようとはしません。多分、母親チンパンジーは恐怖心から、水中に入ることも出来ないとは思いますが。)
地質学的に、どの年代に東アフリカの大地構帯が、海になってしまったのか。その中で、生存できる島・地上域(地上と海中の両方を生活圏として進化した)がどこだったかは、まだ充分には確定していません。
過酷な自然外圧とそれへの適応進化。ヒト類が登場する「外圧」としては、なかなか優れた仮説だと思います。


以上です。

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