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人類の味覚は共認回路!?

Posted By tano On 2007年1月21日 @ 8:00 AM In ①進化・適応の原理 | 1 Comment

味覚はなんの為にあるか?
味覚について詳しく書いてある「ビジュアル生理学 [1]」さんからいくつか抜粋します。
■人間の味覚機能はどのように発達してきたのでしょうか?まずはメカニズムからお勉強。
味覚機能に辛い、酸っぱい、甘い、苦いの4つの機能があります。舌の部分によってそれらを感じる位置が決まっており、概ね甘さは先端、酸っぱさ、辛さは舌の横、苦さは舌の奥で感じるようになっています。
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■また味覚を感じるメカニズムは舌にある味蕾に唾液とともに食物を運びそこから神経回路に伝わっていきます。ビジュアル生物学さんによると・・・


味覚の受容器は味覚細胞の細胞膜上に発現している化学受容体です。食物中の味分子が唾液等の液体に溶け込んで味孔から味蕾に入り、味覚細胞上の受容体に作用します。この刺激が受容体電位を生み感覚神経のアクションポテンシャルとなり、中枢へシグナルとして伝達されます。味覚はその種類によって感覚を伝えるシグナル伝達系が違います。詳しくは [1]%E5%91%B3%E8%95%BE.gif
■味覚を脳回路に伝える経路は2つあるようです。
食物の味の情報は舌上の味蕾から感覚神経線維を通って脳へ伝達されます。その際、舌の部分によって伝達される神経が違います。舌の前三分の二の感覚は舌神経から鼓索、顔面神経(Facial nerve:VII)を通り、孤束核に入ります。後ろ三分の一は舌咽神経(Glossopharyngeal nerve:IX)を経由して孤束核に入ります。その後、一部の繊維は唾液分泌、嘔吐等の反射を誘発する脳幹の他の部位に投射し、他の繊維は視床を経由して大脳皮質体性感覚野の下部(味覚野)に投射します。
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■後ろ1/3が嘔吐などの反射反応に直結しているのはより危機回路に直結している事を現しており、苦さを感じるのは生物反応と言えます。また舌の奥にある機能が基本機能で、先にある甘さを感じる機能が進化上は後天的に付加された機能だと思われます。
一般的に苦さに対する感覚の閾値は甘さや辛さに比べて小さく、敏感です。また、年をとるにつれて味覚の閾値は上昇します(味に対する感覚が鈍くなります)。味覚の閾値には大きな個人差があります。味覚の年齢差による閾値は甘さの場合20歳台と30歳台では3倍、70歳では24倍という実験値がありました。
また乳児の味覚は成人の1/2で反応するというデータもありました。赤ちゃんは味覚が敏感なことは、舌にある味蕾の数が成人よりたくさん存在するという最近の研究結果により裏付けられています。母子健康協会HP [2]より
■赤ん坊が苦味をもつ食べ物を口にした時に直ぐに吐き出す、甘みに対しては進んで口にするというのは生物反応とも言えます。
また一般的に甘みを感じる糖分はエネルギー源となる糖を摂取する為に発達した機能と言われており、すでにサル段階で十分に発達しています。(サル以前は調べていません)
■乳児の話の続きをすると味覚の形成は離乳食時に「おいしい」という感覚を身につけるのは親が与える食事に影響されるようです。 味覚の発達は「白い布に絵を描くみたいだ」と例えられています。最初のほうは原始反射みたいに、あるところまで来るとだんだん鈍くなって、それと一緒に、いわゆる本来の味覚が育つということになっているそうです。%E6%96%B0%E7%94%9F%E5%85%90%E5%8F%8D%E5%BF%9C.gif
このような事例が紹介があります。
動物実験で、ネズミに塩辛い餌をやって育てると、あとでも塩辛い餌が好きだとか、栄養のない餌を食べさせておくと、あとでまた食べるとか、そういうことが事実としていろいろわかってきています。
 それから、フェニールケトン尿症という特別な代謝異常のお子さんがいます。そのお子さんに、フェニールアラニンが入っていない「ロフェミルク」という特殊ミルクを、乳業会社がつくって飲ませています。そうすると、病気が重症にならないのです。ところが、その味がいかにもまずいのです。それで、周りの人が心配して、味のいいロフェミルクをつくったわけです。さあ喜ぶと思って飲んだら、前のまずいロフェミルクを飲んでいた赤ちゃんが、おいしい味のロフェミルクを飲まない、前のが好きなんです

マクドナルドハンバーグで育った子供はハンバーグがいちばんおいしいと感じるわけです。
最近の子供の味覚障害は親の食生活に大きく影響されており、「おいしい」という感覚は甘い、苦いと言った生物反応を下敷きにした共感機能の一部だと思われます。


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URLs in this post:

[1] ビジュアル生理学: http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/index.html

[2] 母子健康協会HP: http://www.glico.co.jp/glico/boshi/futaba/no69/con05_04.htm

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