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無性生殖から有性生殖へ

雌雄分化の起源を探るうえで、無性生殖から有性生殖への分かれ目を調べてみました。その起源を遡ると、約12億年前の珪藻類あたりまで遡るようです。
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>無性生殖とは、1つの個体が単独で(他の個体と遺伝子のやり取りをすること無く)新しい個体を形成する方法である。最も単純に無性生殖と見なしやすいのは分裂である。単細胞生物の多くが細胞分裂によって個体を増やす。リンク [4]
>有性生殖とは、性や接合型の異なる二種類の細胞の融合を伴う生殖方式である。有性生殖では、2つの細胞の接合によって両者の遺伝子が組み替えられ、新たな遺伝子の組み合わせを持つ個体が生じる。配偶子の形成に際しては減数分裂が行われ、染色体の選択が生じ、配偶子の遺伝子型は多様なものとなる。リンク [5]
>生物(=細菌:原核単細胞生物)誕生が35億年前、真核生物(=単細胞原生生物)の登場が15~20億年前、有性生殖の原型=異型配偶子型生殖を行う珪藻類登場(exユードリナ他)が約12億年前、始原多細胞動物(exニハイチュウ)の登場が約10億年前
>それから、約6億年前のエディアカラ動物群の登場までの間に2倍体+減数分裂の生殖システムが主流となっていく
リンク [6] 
どうやら、無性生殖から有性生殖への分かれ目は、「異なる二種類の細胞の融合」「両者の遺伝子が組み替え」「2倍体+減数分裂」といったあたりにありそうです。
2倍体(ディプロイド細胞)というのは、ゲノム(遺伝子)のセットを2セット持っているという意味だそうで、真核多細胞生物の体細胞は2倍体です。これらは、互いによく似たな染色体(=相同染色体)であり、相同染色体の一方は母方から、もう一方は父方から受け継ぐのだそうです。
それに対して、生殖細胞(卵子や精子)は、減数分裂した1倍体(ハプロイド細胞)です。減数分裂というのは、細胞分裂をする際に、染色体数が分裂前の細胞の半分になるものです。もともと2倍体だった細胞が、減数分裂をすることによって1倍体の生殖細胞になり、母方と父方の異なる生殖細胞が融合(受精)することによって、再び2倍体の細胞となるというわけです。その過程で、遺伝子の組み換えが起こります。
これがおおよその有性生殖のシステムですが、生物は何故このようなシステムを進化させてきたのでしょうか?
基本的には、やはり生物にとって、有性生殖のシステムの方が、外圧に適応するえで有利であったということだろうと思います。
無性生殖の場合は、ほとんどそっくり同じ子孫が大量にできてしまうため、多様な変位体をつくり出すことが困難です。そのため、ウイルス・細菌などの病原体に感染・寄生された場合、或いは、放射線や紫外線・化学物質等によってDNAに傷を受けた場合など、大きな外圧に直面した場合は、ほとんど絶滅してしまうということになります。
それに対して、有性生殖の場合には、2倍体を創出し、同じ遺伝子を2組持つことによって、仮にDNAに傷を受けて片方が機能しなくなっても、残りの正常な遺伝子でカバーできるようになます。そして、異なる細胞が融合し、遺伝子の組み換えが起こることによって、級数的に多様な変位体をつくりだすことができるようになります。多様な変位体をつくり出せるようになることは、外圧の変化に適応する上で、断然有利です。
有性生殖が普遍的に見られる様になるのは、多細胞生物(約10億年前)になってからです。それからカンブリア大爆発に至った流れを考えると、生物は、有性生殖というシステムをつくり出すことによって、加速度的に進化してきたと言えると思います。

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