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猿の同類闘争の激しさ

 原猿→真猿→人類と進化する中で、個体間の性闘争、集団間の同類闘争は重要なキーワードとなります。でも、なんとなく現在の猿を見ていても激しい闘争というのは思い浮かばない気がします。
 しかし、人間に最も近いチンパンジー、あるいは類人猿を除くサルのなかまで最も利口だとされるヒヒなも実は「猛獣」といえるほど凶暴だそうです。
■チャクマヒヒ(アフリカ南部に棲む大型のヒヒ。雄:体長80~100cm、体重30~50kg。)
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■チンパンジー (アフリカ中央部:タンザニアからギニアにかけてに棲む。雄:身長1.5m、体重40~55kg。動物園で90kgの記録がある。)
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【参考】「マセマティック放浪記」 想像以上の知能をもつチンパンジーだが、彼らの身体能力もまた凄い。吉原さんは、チンパンジーは猛獣だと断言する。その握力は三百キロに近く、相手が本気で力を込めたら人間の指の骨などたちまち折れてしまう。腕力もたいへんなもので、八十キロもある鉄板を空中に放り上げ、すばやくその下をくぐり抜けるという芸当など朝飯前なのだという。脚力も凄じく、足で物を押さえたり引っ張ったりする力は三百五十キロにも達し、垂直飛びにいたっては、三・五メートルから四メートルにも及ぶのだそうだ。また、成獣の場合、体重は軽く八十キロを超えるから、全力で体当たりされたり、横に力いっぱいはたかれたりしたら、並みの人間は一発で致命傷を負い、ダウンしてしまうという。よく、三輪車や自転車に乗る芸達者なチンパンジーがいるが、ふだん遊んでいるときにそれらを与えても絶対に乗ることはないらしい。彼らにとって、それは苦行にも近いことのようで、放っておくと、その馬鹿力をもって三輪車や自転車をグニャグニャ、バラバラに分解してしまうという。

 どうですか。チンパンジーの身体能力は恐ろしく高いのですね。そして、その特徴として他の霊長類には見られないような残虐性も持ち合わせているようです。同じ霊長類のオナガザル科のアカコロブスを狩りをして捕まえ食ってしまうことは既に知られていますが、とうとう次のような事件まで起こっています。

アフリカ西部シエラレオネのタクガマ動物保護区域で、数頭のチンパンジーが米国人3人を乗せたタクシーに襲い掛かったという!チンパンジーは握力は300kgもあり、人間など足元に及ばないほど怪力の持ち主だ!!そんなチンパンジーが拳でフロントガラスを叩き割りそして地元の運転手を引きずりだし、首を押さえつけて地面に叩きつけ、両手、両足の生爪を剥がしたうえ、最後は顔面全部を食べ尽くして逃走したという。あまりにも残虐非道ぶりは目に余るものがある。

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 現代の霊長類にも痕跡の残る闘争性や攻撃性を見れば,初期の真猿段階の同類闘争がいかに激しいものだったか、少しは想像できるのではないでしょうか?

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