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どうして生き物にはオスとメスがあるのか?

生物が最初にオスとメスに分かれたのは、約10~15億年前頃に遡るといわれます。
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「藻類の有性生殖 模式図」 画像引用元:国立科学博物館 微小藻の世界 [1] 

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約38億年前の生命誕生からオスメス分化にいたるまでの生物たちは、基本的に自分と同じものを細胞分裂によって増やす単為生殖でした。
単為生殖では、同じDNAが相当な正確さをもって複製されるため、ほとんど変異は発生しません。これは、外部環境が全然変化しないとすれば、極めて確実単純で、最も効率的な繁殖方法です。(ちなみに、分裂によって殖える大腸菌は条件さえ良ければ20分に1回の割合で分裂し、その結果、1個の大腸菌が9時間で1億個体にまで増殖するそうです)
しかし、少しでも環境が変わってしまったらみんな同じなので絶滅してしまいます。

そこで生み出されたのが、オスメス分化と有性生殖のシステムでした。

ちなみにその原初的な姿は、藻類の「接合」の形態のようであったと言われています。

緑藻類のクラミドモナスやアオミドロは、普段は1倍体で栄養生活を営んでいるが、低温・乾燥・栄養分の枯渇などで環境が悪化すると、猛烈な勢いで2匹ずつ合体(接合)を始めると言う。こうして生まれた2倍体細胞(接合子)は、ただちに体の外側に硬い殻を分泌して休眠に入る。そして環境条件が改善すると、殻の中で減数分裂を行って4匹の1倍体細胞に生まれ変わり、殻を破って元の1倍体細胞として栄養活動を再開するのである。
有性生殖は、しばしば外部環境の悪化と結び付いて起こる事が知られている。太古の海に誕生したばかりの真核生物は、遺伝子DNAのセットを1組しか持たない1倍体細胞であった。しかし、環境が悪化してそのままでは生きて行けなくなった時、1倍体の真核細胞同士が合体して、DNAセットを2組持つ2倍体の真核細胞が誕生したのである。そして合体融合した真核細胞は、互いに遺伝子を交換し協力し合って危機を切り抜けた。
つまり「受精は緊急避難から始まった」のであり、太古の海で死の危機から逃れる為に合体した2匹の真核細胞こそ、有性生殖の起源だったのである。
※引用元:生命と進化 [5]  

つまり、(自分のコピーではなく)遺伝子の交叉で同類他者を生み出すことにより、環境(外圧)の劇的な変化に適応する、これが有性生殖の起源です。

次第に生物は、精子をつくる側=オスと、卵子をつくる側=メスに分かれていきます。そしてDNAの変異をより多様化することが可能となり、以降、生物は多様かつ著しい進化を遂げていくことになります。

オスメス分化は生物が生き残るためにあみだした奇跡の手段だった・・・人類の男と女も、こうした数億年にわたる進化の歴史の上に存在していると考えれば、感慨深いですね。

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