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霊長類の視覚進化①

11月5日の記事、「原モグラが原猿に進化して何が変わった?」を読んで”立体視の獲得”について気になったので、霊長類(原猿→真猿→人類)の視覚機能について更に追求してみました。
”立体視”が出来るようになるには、両目が前向き についている必要があります。
現存する原猿類の目は・・・確かに前向きについている!
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原猿類に進化する以前(原モグラ時代)は、目は現在のモグラやネズミと同じように顔の側面寄りについていました。原猿への進化途中(霊長目としての特徴をいくつか持っている)であるツパイ類の目も側面寄りについています。
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原猿への進化途中 ツパイ
つまり、原モグラから原猿に進化する段階で、目が顔の側面寄りから完全な前面に移動したと言うことです。
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シリーズ9で展開されているように、哺乳類の黎明期、原始哺乳類(原モグラ段階)は、恐竜の脅威から逃れて夜活動をしていた(夜行性)為、殆ど視力はなく聴覚機能が発達していました。その後、恐竜等の大型爬虫類の絶滅により、哺乳類は、昼行性の生活に移行します。
昼行性に移行してからも、哺乳類は視覚機能よりも聴覚機能と嗅覚機能を発達させ進化していきますが、例外的に、原猿=霊長類だけが、視覚機能を飛躍的に発達させ進化していきます。その理由が、樹上生活です。
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樹上生活する猿(写真は真猿)
樹上での生活では、、正確な視覚機能が必要となります。木は風や動物の移動で3次元的に複雑に動くからです。 移動するにも、正確に距離感を掴む必要があります。また、緑の葉の中から獲物や木の実を見分ける必要もあります。
同じくシリーズ9で展開されているように、原モグラは原始げっ歯類に追われて樹上逃避しました。
樹上逃避と言う逆境の中で、視覚機能を発達させていったのです。
しかし、先述したように、樹上逃避した原モグラ~ツパイ段階では、まだ目は正面についていない=完全な立体視にはなっていません。現生のツパイが完全に樹上適応しているわけではなく、一部地上で生活していることから解るように、完全な樹上適応ではない為、視覚の発達レベルで留まり、立体視は発達していなかったのです。この中で、さらに外敵に追われ完全に樹上適応した種が、目の位置を正面 へと変化させ、立体視を獲得していきます。  
<ニシタニ>

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