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イヌとネコの分かれ道

はじめまして 路上で世直し「なんで屋」 [1]もやってるtanakaです。
今日は、なんで屋カード [2]でもお馴染みのイヌネコのお題を一つ・・・。
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カードを買っていくお客さんを見ていると、世の中にはイヌ派とネコ派の2種類の人種が存在していて、お互い理解しあえる日は永久に来ないのでは?などと感じることもありますが、実は彼ら、もともとは同じ祖先から分かれた兄弟なのです。
イヌとネコの運命は、一体いつどこで分かれたのでしょう・・・・・
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◆食肉目の共通祖先
イヌとネコの共通祖先は、約6500万年前~4000万年前頃にいたミアキスという動物。イタチに似た20~30センチの獣で、ヨーロッパから北米にかけて生息していたようです。ミアキスはその後、食肉目という一大グループをつくり、イヌやネコのほか、トラやオオカミ、キツネやタヌキ、クマやパンダ、アザラシやアシカなどへと進化していきます。
ミアキス。画像は「古世界の住人 [6]」様からお借りしました

ミアキスは鋭いカギ爪を持ち、木登りもかなりできたとか。そういえば、私たちの祖先の原猿さまがネズミに追われて木に登った [7]のも丁度この頃。もしかすると、原猿をさらに木の上の方へと追い詰め、完全な樹上適応せしめたのが彼らだったのかも知れません。
◆そしてイヌは草原へ、ネコは森へ・・・・
ミアキスが登場した新生代第三期の始め頃はまだ森林 が豊かでしたが、第三期の中期、3000万年前頃になると、寒冷化によりヨーロッパや北米の森林が縮小し草原地帯 が広がっていきました。そこで、より地上生活に適応した体を持って登場したのがキノデスムスというイヌ科の祖先。一方、森の中に残った者たちはネコ科の祖先になっていきました。
草原に追い出されたってことは、当時はイヌの先祖の方が若干弱者だった??
最初のイヌ科の動物キノデスムス(体長約1m)

最初のネコ科の動物ニムラブス(体長約1.2m)

こちらの画像は「巨大獣の時代 [8]」様から
◆人間との出会い
草原と森に分かれたイヌとネコは、数千万年の後に私たち人間のもとで再び出会います。
イヌと人との出会いは、約3万年前のアラビア。狩猟や外敵からの防衛のためにオオカミが飼われたのが始まりで、約1万5千年前には東アジアで今の“イヌ”という種が出来ます。(参考:るいネット「日本犬の起源 [9]」)その後、イヌは人間の手で様々に品種改良され、なんでやカードにもある柴犬やシーズー、ダックス、マルチーズetc・・・・が生まれていきます。
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今ではサイズもスタイルも顔も千差万別のこの飼い犬たち、分類上はセントバーナードもチワワも全て「イエイヌ」という同一亜種で、人間でいえば人種の違い位しかないのだとか。それだけ遺伝子の発現が多様性に富んでいて、だから品種改良も自在に行えるのだそうです。
一方、ネコが家畜化されたのは4000~8000年前のエジプトで、リビアヤマネコが全ての飼い猫の祖先だと考えられています。この頃、人間は初めて農耕=麦の栽培を開始しましたが、人々の頭を悩ませたのが、収穫した麦の倉庫に忍び込むネズミの被害。そこで一計、人様の麦には目もくれず、ネズミを追いかけてくれるネコを飼い始めたのが始まりだそうな。
トムとジェリーの間柄は、古代文明の時代から変わらないのですね。mainimg.jpg

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