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哺乳類の進化 独自の進化を遂げた有袋類

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「シリーズ10:収束進化(哺乳類の拡散適応) [1]で少し登場した有袋類について書いてみたいと思います。
有袋類(胎盤が不完全で、育児嚢で子を育てる)と真獣類(現生の哺乳類のうち、単孔類、有袋類以外のもの。胎盤をもつグループ)は、約1億年前に分かれて約3500万年以前には北米に少なくとも3科5属13種の有袋類がいたとされてます。有袋類は原始哺乳類から早い時代に分岐し、有胎盤類とは異なる進化をしています。(ウィキペディアより) [2]有胎盤類が胎内保育をするようになったわけは「シリーズ9原始哺乳類 哺乳類が胎内保育になったわけ?」 [3]に書かれていますが、寒冷化への適応という面が大きいでしょう。
ではオーストラリアの自然環境はどうだったのでしょう?
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オーストラリアにはさまざまな気候が存在し、大半は乾燥または準乾燥地帯です。
一般的に北部沿岸は、一年中気温が30度近い熱帯域です。熱帯気候は雨季と乾季に分かれており、5月から10月までが乾季、11月から4月までが雨季にあたります。
雨季には川が洪水して道路が寸断されるほどであり、乾季と雨季のギャップが大きいです。大陸の中心部には、永く干上がったままの面積9,000平方キロ余りの塩水乾湖・エア湖があり、水がいっぱいになるのは100年に2回くらいといわれています。中南部沿岸は温帯~冷温帯で四季があります。
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代表的な有袋類、カンガルーはオポッサムから進化したと言われています。
カンガルーは概して草食で、特にオーストラリアの様な乾燥した大陸では、かなり固い植物を食べています。こうしてカンガルーが草や木の葉を食べて繁殖してゆける能力があるのが、彼らがオーストラリアの色々な生息地でうまく生きてゆける大きな理由です。
カンガルーの妊娠期間は30日間。出産後、あかちゃんは自力で這い上がり袋に入るのですが、出産時はピンク色の塊で目も見えず、耳も聞こえず、毛も生えていない超未熟児で産まれてきます。そのときは10円玉程度で、袋に入ると乳房に吸い付きそのまま200~220日くらい育児嚢で成長します。出産後、袋に子供がいても交尾をして受精卵ができます。ですが、袋に子供がいると出産しても育てられないので、なんと受精卵の成長を袋の子供が育つまで成長を止めることができるのです。
袋の子供が袋から出て、子育てが完了すると妊娠が促され、改めて30日間の妊娠期間に入り、出産します。(「須坂市動物園日記 [4]」より一部抜粋)
生殖時期も1年のきまったときに定例的にというわけではなく、食べ物が比較的豊富な時期に集中して生殖活動を行います。おなかの中に身ごもっていて、袋の中にも赤ちゃんカンガルーがいて、足元にも袋から卒業した子供カンガルーがいる・・・  という状況になるときもあるそうです。
オーストラリアでの有袋類の適応は、乾燥への適応だったといえるのではないでしょうか。
おまけ
もうひとつ代表的な有袋類、コアラはカンガルーと同じくオポッサムから進化していますが、樹上適応した種です。他の動物にとっては有毒のユーカリの葉を食べることができ、水分も葉を食べたときの水分以外はとらなくても大丈夫です。これも乾燥地への適応といえるでしょう。

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