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草原に追われた?哺乳類

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 牛や羊など、草原に適応した草食動物の祖先は、もともと森林で柔らかい(消化しやすい)葉を食べていたと考えられます。ゾウやキリンなどは今でもそうですね。それが、3400万年前(新生代第三紀の中期にあたる漸新世初期)から寒冷化が進み、森林が縮小して大草原が拡がります。(サバンナ、プレーリー、パンパ等の大草原がこの時期に出現。)
草原に生える単子葉類(主にはイネ科)は、プラントオパール(植物珪酸体)やセルロースが大量に含まれていて硬く、森林の植物(双子葉類)に比べると極めて消化しにくい葉を持っています。
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(プラントオパール・Webさんいん [1]より転載)
なぜ彼らは森林から出て、硬くて消化しにくい草に覆われた草原に行ったのでしょうか?
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現在の牛や羊などは、こうした硬い葉を消化するため、複雑で長い消化器系を持っています。(現在の牛は、反芻するための4つの胃と体長の20倍もある長い腸を持つ)
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(「中央よつ葉会 [5]」より転載)
けれど、こうした仕組みが完成するまでには長い年月が必要だったはずで、適応できなければ滅亡するしかありませんでした。つまり、積極的に草原に出て行った理由はどこにも見あたらず、彼ら牛や羊の祖先達は、森林の減少によって草原に出て行かざるを得なかった、と考えるべきではないでしょうか。
「拡散適応」や「草原への進出」などと言うと、いかにも様々な環境に果敢に挑んだかのように思ってしまいます。が、それはまったく逆で、柔らかい葉が豊富だった森林が減少したことにより、硬い葉を持つ植物に覆われた草原という逆境に出て行かざるを得なかった、というのが、彼らの辿ってきた道筋だったのでは?
草原に適応した哺乳類も、やはり「逆境によって進化した」と言えるのではないでしょうか。
(taka)
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