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土中で生き抜いたご先祖様

既に他のエントリーで触れられている様に、原哺乳類は寒冷適応のために胎内保育に転換し、恒温機能を発達させた生物である。しかし地上に進出し、進化するには長い道のり=多くの壁があったことを忘れてはならない。
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土中で生きていた哺乳類の祖先 ディクトドン 地面に螺旋状の穴を掘って暮らしていた
彼らが寒冷への適応のために最初にとった手法は土中に棲むことであった。土中は地上に比べて気温の高低差が小さく、それだけで寒さを防げる。それだけでなく、一定の恒温性も保たれる。
しかし土中に棲むにあたっては大きな問題がった。それは、土中は地上に比べて空気が少なく低酸素状態にあるからだ。かつ特に降雨時にはそれが著しくなる。(例えば降雨時は地下20cmでも酸素は僅か5%に低下する)
さてご先祖はどのようにしてこの土中の難をくぐり抜けたのか?
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哺乳類の祖先 キステケファルス 2.5億年前 地中でミミズや昆虫を食べていた
ご先祖達は土中でも生きていけるよう、皮膚呼吸と肺呼吸を併用している両生類に比して、著しく心肺機能を発達させる必要に迫られたと思われる。具体的にはその後心臓を静脈系と動脈系に分化させ、代謝効率を引き上げるよう機能を作り変えている。また、肺胞(空気の通り道である気道の先端を、細かくブドウの実のように分化させたもの)を発達させ、酸素の効率的吸収を実現させている。
しかしこれらは最終的な実現形であり、過渡期においては現在のモグラがそうであるように、一日のうちに何度も休眠をくりかえし代謝活動を抑制していたのであろう。
もう一つの壁は恒温性(体内の高温化)を獲得することで、細菌やウィルスが体内で繁殖しやすくなることである。その為免疫機能を一段と発達させ、獲得免疫を発達させる必要に迫られたことである。
何れにせよこの土中で適応していく際に、多くの先祖が窒息死し、病魔に襲われて息絶えていったであろう事は想像に難くない。
では、土中で適応したご先祖様たちは何故地上に出たのであろうか?土中ミミズや幼虫や草の根(根菜類)等の食物がそこそこあるし、何より恒温性が高い。かつ地上は大型爬虫類がひしめいている。適応した種がわざわざ棲家を移すには地上に出ざるを得なかった理由がある筈である。
地上に哺乳類が登場した時期(2.3億年前)は、火山活動が活発で空気中の酸素濃度が低下した時期である。従って土中は著しい酸素不足になる。つまり窒息死を避け、空気を求めて地上に出ざるを得なかったのであろう。土中の低酸素に対応できる機能を身につけていたご先祖たちは地上の低酸素条件でも生き抜くことが可能だったのである。
何れにせよ、幾つもの難題をクリアすることにより、ご先祖達は再び地上に登場した。
そしてその後、陸海空・樹上へとニッチを求めて多様な種の分化を遂げていくことになる。
by北斗七星
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