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水辺から逃れるために生殖様式を進化

肉食両生類に水辺を追われて乾燥適応し始めた両生類も、卵~幼生期だけは水中で生き延びなければ陸上に脱出できませんでした。
そこで両生類が水辺から完全な脱出を目指し、二系統の戦略をとりました。

今回は両生類の生殖様式に注目し、爬虫類や哺乳類へと進化する仕組みを探りたいと思います。
カエルの子はカエル!? [1]

1.地上で産卵

日本にも生息するモリアオガエルは水辺の上に伸びた木の枝に卵を産み、メレンゲ状の泡で包むことで乾燥を防ぎます。
[2]孵化すると幼生(オタマジャクシ)がポタポタ落ちてくるんです。
しかし、これでは卵は地上でも幼生期は水中で過ごさなければならないので、この段階では水辺から完全に脱出することはできません。

そこで、多量の卵黄を伴った大型の卵を産むことで、卵の中で変態を終え、成体として孵化する仕組みをつくりました。ある程度の湿度は必要ですが、ようやく完全に地上で生きていくことが可能になったのです。
※一番上に掲載されている写真が生態で孵化するコヤスガエルです。

この路線をさらに延長し、卵殻を形成して乾燥に適応したのが爬虫類です。⇒「シリーズ5:両生類から爬虫類へ」 [3]

2.母体内で成体へ(卵胎生⇒胎生)

地上で成体に変態するのは必ずしも卵の中とは限りません。メスの背中にある保育嚢や、オスの口(鳴嚢)の中で変態する種も現存します。
その中でも輸卵管で変態する「卵胎生」が後の哺乳類へとつなぐ進化を果たすのです。
卵胎生とは母胎内で孵化することで、グッピーやサメなどの魚類にもみられる適応様式です。単に孵化するだけでなく、孵化した後に輸卵管から分泌液を出し栄養分を補給するといった胎生の前駆形態もみられます。
肉食両生類に追われ寒冷地に逃げた両生類が、冷気に晒さずに子孫を遺す術として、この手段を使ったようです。

さて、このシリーズも次回は、いよいよ哺乳類へと進化を果たすはず?お楽しみに 😉

(by つじ1)

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