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有「胎盤」類って?


「哺乳」類>有「胎盤」類>人類と分類されています。(胎盤って?)
 
胎盤の完成と性闘争本能の強化が哺乳類を進化させた – るいネット [1]」より
>哺乳類を大きく分類すると、単孔類(胎盤はなく、卵を産み母乳で子を育てる:現在ではカモノハシとハリモグラ)、有袋類(胎盤が不完全なため、体外部の育児嚢で子を育てる。:現在ではカンガルー等)、有胎盤類(完全な胎盤をもつ多くの哺乳類)に分かれます。
 
 ◎「胎盤」のイメージ画像
 胎盤の構造(2/5) << 発生 << META BIOMEDICAL CG LIBRARY [2]
 胎盤の構造(3/5) << 発生 << META BIOMEDICAL CG LIBRARY [3]
 
 これに関するブログ Biological Journal 内の記事は以下です。
 ・なぜ、哺乳類は「胎内保育」と「産後保護」をするようになったの? [4]
 ・哺乳類が胎内保育になったわけ? [5]
 
 引き続き、「胎盤(or胎内保育)」や「母乳(or授乳)」方面へ追究し、ログっていきます。


有胎盤類の最古の化石は、約1億2500万年前の地層で見つかったエオマイア(最初の母?)です。
 
NIKKEI NET:世界の巨大恐竜博2006 [6]」より
>人類を含む有胎盤類は胎盤を通じて母体から栄養を取り込むので、赤ちゃんは完全に発育した状態で生まれる。このため、卵から生まれるよりも厳しい環境に適応しやすい。
>有胎盤類が出現した時期を特定するのは難しいが、中国遼寧省で有胎盤類の祖先とみられる真獣類、エオマイアの化石が約1億2500万年前の地層から見つかった。
 
 ◎「エオマイア」のイメージ画像
 エオマイア・川崎悟司イラスト集 [7]
 
エオマイア・川崎悟司イラスト集 [7]」より
>エオマイアとは「最初の母」という意味で、知られる限り最古の胎盤をもつ哺乳類(有胎盤類)です。有胎盤類とは母親のお腹の中で子供(胎児)をある程度育てて産むという私たちヒトと同じ繁殖方法をする哺乳類です。これにより、確実に子孫を残せるようになりました。このエオマイアは有胎盤類と同じタイプの歯や骨格が確認されており、すべての有胎盤類の祖先に当たるといわれています。ネズミくらいの大きさで樹上で昆虫などを食べていました。
 


胎内保育を獲得した背景には、2億5000万年前からの低酸素環境(息苦しい外圧)があった!?
 
哺乳類の胎内保育は、低酸素という外圧状況下での適応態? – るいネット [8]」より
>現生哺乳類の DNA研究によれば、有胎盤類が約1億7500万年前には、すでに有袋類から種分化し、地球上に出現していたことを示唆しているという。現生の有袋類が不完全ながら胎盤をもとことを考えると、胎生の始まりはさらに以前にさかのぼると考えられている。
>2億5000万年前のペルム紀末に起きた大量絶滅(PT)の後、地球が低酸素環境に陥った。この低酸素の外圧状況下で、哺乳類が可能性収束の一つとして胎生へと進化したのではないかと推測されています。低酸素という困難な環境下でも、生まれくる子供に常に酸素を送り届け、確実に子孫を残せるように、繁殖の方法を変えたのではないかと。
 


胎盤は、ウィルスとの生存闘争にも適応してきた。(免疫機能の継承)
 
母子を通じて受け継がれる免疫環境 – るいネット [9]」より
>人は1億種以上の抗原(ウィルスや細菌)に対応できると言われていますが、それは先祖代々体験して克服してきた抗原との戦いの成果を、母子を通じて受け継いできているからです。免疫の継承は2段階によって行われます。
>1.胎盤を通じて、継承される抗体(IgG)
>2.母乳を通じて、継承される抗体(IgA)
 
 ◎妊娠中・授乳中のお酒の飲みすぎには、注意しましょう。
 


ちなみに、哺乳(母乳)>「乳腺」の起源ですが、「汗腺」だそうです。
 
哺乳類への道その2~汗腺の起源 [10]」より
>ディキノドンの腹から出る汗は脂肪やたんぱく質を含んだ栄養のある汗。それをペロペロと舐める子供の群れ・・・。そう、これが、哺乳類にだけあるという「授乳」のはじまりだ!!哺乳動物の「哺乳」とはもちろん子供にお乳を与えることだが、これを哺乳類の定義とするなら、このディキノドンこそが最初の哺乳類といえる。最初の授乳は子供が母親の乳首をくわえて母乳を飲むというものではなく。母親の腹からにじみ出てくる栄養価のある汗をペロペロと舐めるもの。この授乳スタイルは現代では原始的な哺乳類カモノハシにも見られる。やがて汗を出す汗腺は母乳を出す乳腺へと進化するのである。
 
 ◎「ディキノドン」のイメージ画像
 川崎悟司イラスト集・ディキノドン [11]

 


哺乳(母乳)の仕組みに欠かせないのが、「オキシトシン」というホルモンです。(親和物質)
 
オキシトシンの不思議 – るいネット [12]」より
>子宮(筋)収縮ホルモン。子宮の筋層に働いて子宮の収縮を起させ、乳腺の筋肉性上皮を収縮させて乳汁の射出を促す神経性下垂体ホルモンのひとつ。
>乳汁の射出は、乳頭に加えられた刺激が神経を通って視床下部に伝えられ、オキシトシンを分泌させるという神経内分泌反射によって行われる。
>オキシトシンとしては、『日経サイエンス』の記事では、原始小型哺乳類のキノドン類に見られるようです。
>オキシトシンは「母が子を体内で育て分娩し、哺乳する」ために、必要な母子をつなぐホルモン物質であることは間違いないようです。
>『実現論』では、「親和物質」の候補として「オキシトシン」が上げられています。
 
TBS「ぴーかんバディ」-「幸せ体質・不幸体質を決めるホルモンがあった!」 [13]」より
>出産や授乳の歳に使われるホルモンで、授乳するとき、母親の脳内で5分に1回大量に分泌される。
さらに子供を抱くこと、触れることでオキシトシンが多く出ているとされていて、オキシトシンが出ることで、親子の深い絆が生まれる。
(イメージあり)
 


そんな「母乳」以前に欠かせないものが「胎盤(>栄養芽層)」です。
 
 免疫機能の不思議「胎児が母体に拒絶されないのはなんで?」の答えとして、「胎盤(>栄養芽層)」が注目されています。
 
クリストファー・ヴォーン著『いのちのはじまり大研究 はるかなる生命の記憶』(青山出版社、1997年3月) [14]」より
>では、どうして胎芽は攻撃されないのでしょう?この難題を解く鍵としていま注目されているのが、「栄養芽層」という胎盤の最外層です。胞肺が着床してからの数週間、胎芽は子宮に接するこの栄養芽層を、敵も味方もない「白紙」の状態にしておきます。敵・味方を区別する「マーク」がないわけですから、お母さんの体の免疫システムは刺激されないのです。また栄養芽層は、自分をHCGホルモンで覆ってステロイドホルモンを分泌し、着床する部分の免疫反応を押さえたりもします。
 
 ※1997年発行の本の話ですが、その後どはうなっているのでしょうか?(未調査)
 


なお、胎盤>栄養芽層の詳細について
 
個体の発生と分化Ⅱ – 発生と分化のしくみ [15]」の「補足.鳥類と哺乳類の初期発生」より
>32細胞期になると、外側の細胞は水を吸い込んで一層の細胞層になり、内側の細胞塊が上部にへばりついた形となる。こうして外側の細胞層である栄養芽層(trophoblast)と、内部の細胞群である内部細胞塊(inner cell mass)に分かれる。栄養芽層は後に胎盤の形成に参加し、内部細胞塊のみが胚として発生をすることになる。この時期は他の動物の胞胚に該当するが、胚盤胞(blastcyst)と呼び、この時期に着床する。
 
 ◎「拡大する栄養芽層」のイメージ画像
 イメージ1 [16]
 イメージ2(動画) [17]
 


最後に、こんな論文がありました。胎盤形成に必須な機能をもつ遺伝子の発見!?
 
ゲノム機能解析から見えてきた哺乳類進化-哺乳類の進化に関わるレトロトランスポゾン由来の遺伝子 Peg10 の発見- [18]」より
>今回の論文の概要:
> 申請者のグループが2001年に発見したインプリンティング遺伝子 [19] Peg10 [20]は、遺伝子構造から考えてレトロトランスポゾンに由来すると考えられた(図1 [21]:Ono et al. Genomics 2001)。この遺伝子は、哺乳類にのみ特異的に存在することがわかり、どのような機能を持つ遺伝子であるかが注目されていた。今回、このPeg10を欠失したマウスを作製したところ、受精後、子宮に着床して初期の胎児まで一見正常に発生するが、妊娠10日目の時点で致死(初期胚致死)となることが明らかとなった(図2 [22])。解析の結果、このマウス胚では胎盤の形成に異常があるため、胎児の発生ができなくなったことを証明した。すなわち、この遺伝子は胎盤形成に必須な機能をもつことにとって、哺乳類の個体発生に必須の役割を果たしているものであった。この結果は、哺乳類の胎生 [23]という個体発生様式に必須な臓器である胎盤が、進化の過程で獲得されるために、レトロトランスポゾンに由来した遺伝子が使われていることを意味している。 すなわち、Peg10は現在の哺乳類の個体発生に必須な遺伝子であり、哺乳類の進化を考える上でも重要な意味を持つ遺伝子であることが示された(図3 [24])。
 


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