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あまり知られていない性闘争本能の重要性

哺乳類の特質として、恒温性、肺呼吸、体内保育、産後保護、聴覚の発達、大脳新皮質の獲得などが良く取り上げられています。しかし、あまり取り上げられていないけれど非常に重要なのが、性闘争本能の強化です。 😮 mogura02%5B1%5D.jpg


哺乳類が性闘争本能を強化していると言われてもピンと来ない 🙁 かもしれませんが 、発情期にオス同士がメスを獲得するために血みどろになって争う 👿 生き物は哺乳類だけです。鹿のオスが角を突き合わせて血みどろになって闘うのは有名ですが、殆どの哺乳類が発情期には同様な闘争を繰り広げます。
アザラシの性闘争を紹介しているブログがありました「性闘争の映像 [1]」。280px-Zalophus_californianus01_1920%5B1%5D.jpg
さて、哺乳類の性闘争が強烈であることは分かった 😉 として、では性闘争の何が重要なのか。実は、性闘争は哺乳類の進化を促す、原動力になっているのです。
哺乳類以前の生き物は、多くの卵=子供を産み、殆どの子供が自然環境で淘汰されることで、環境に適応した強い子孫を残す、淘汰適応のシステムで進化してきました。
しかし、哺乳類は体内保育と産後保護を行いますから、このシステムが働きにくくなります。これにかわって淘汰を成体後に引き伸ばしたのが哺乳類です。強いオスだけしか子孫を残せないと言う形で淘汰を実現したのが哺乳類で、そのために性闘争本能を強化したのです。 😮 詳しくは「実言論 [2]」をご覧ください。
では、原始哺乳類はどのようにして性闘争本能を発達させたのでしょうか。これにはるいネットの下城浩一さんの投稿 [3]が参考になります。 😉
原始哺乳類=原モグラは寒冷適応のため林床や土中で生活していますが、彼らは生きる為に毎日体重の1/2程の大量のえさを食べ続けなければ成りませんでした。これは、日光に当たらないことと、体温保持機能が弱いことから、エネルギー代謝が高いという説や、そもそも土中昆虫の栄養価が低いという説があります。従って、土中であればどこでも良い訳ではなく、少ない運動量で大量に食が確保できる場所に縄張りを確保出来なければ、生きていけないのです。 😥
従って、食の縄張り闘争は、オス・メスともに激しく、生態観察が進んでいるヨーロッパモグラでは、オスが直径47m、メスが30m程の縄張りを持ち、2匹のモグラをそれ以下の容器に入れると、瀕死の状態になるまで戦うそうです。 👿
その上に、性淘汰がかぶさります。繁殖期になると、オスの行動範囲は直径140mとなり、縄張りは、その二乗に比例するので、9倍に膨れ上がります。メスは35mなので殆ど変わりません。従って、性闘争は激烈なものと成ります。その結果、性闘争に敗け縄張りを確保できなかった個体(=大半の個体)は、エサを確保できずに死んでゆきます。 😥 images%5B86%5D.jpg
この結果、哺乳類は自然淘汰を上回る淘汰適応態となったのです。6500万年前恐竜が絶滅すると、哺乳類はたった300万年という短い間に拡散適応していきます。原モグラが置かれた状況と、特化した性闘争が、進化し生き残る為の最大の武器と成ったのです。
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