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恒温機能の獲得

さて、寒冷地に逃げ込んだ初期哺乳類は、これまで『胎内保育』→『土に潜る』→『肺呼吸』と哺乳類になるための機能を獲得してきたわけですが、彼らは氷河期のさらなる寒冷化に適応すべく、『恒温機能』を獲得していきます。



氷河期イメージ(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 リンク [1]

今日は、恒温機能獲得への道のりのお話です。


初期哺乳類は、体毛、ヒゲ、汗腺機能、汗腺を通した授乳機能を獲得していたことが化石から解っており、これらのことから未発達ながら恒温機能を獲得していたと考えられています。


上のイメージは化石から汗腺が見つかったエステンメノスクスくん(出展:「古世界の住人」 リンク [2]

恒温機能とは(参考:リンク [3])・・・

体内の熱の産出と放散とを調節することによって『体温を一定に保つ機能』のことです。恒温動物は、具体的に以下のような方法で体温を調節しています。
 
★体温を上げるもの 
・毛を立てる(身体の回りに空気の層を作り、伝熱を抑える。衣服と同じ効果)
・身震い(筋肉の摩擦熱による)
・ 脂肪の燃焼
・血管の収縮(末端は冷えてしまうが、重要な臓器に血液を集中し、保温する効果がある。また、しもやけの原因)

★体温を下げるもの
・発汗(気化熱による)
・血管の拡張

全体に見渡すと、体温を上げるための方法の方が、体温を下げるための方法より多いですね。それもそのはず。さらなる寒冷化に適応するための機能だからです!

さらに上記の体温を上げる方法をみると、
☆毛をたてる→体毛の獲得
☆脂肪の燃焼→皮下脂肪の獲得
☆血管の収縮→心肺機能の発達
が必要だったことがわかります。

つまり、寒冷適応のために獲得した機能が下敷きになって、恒温機能が獲得されていくんですね~。
進化って不思議・・・  。

さらに、さらに!!!!!
体温を維持するためには常に大量のエネルギーが必要だったのですが、寒冷化適応のために逃げ込んだ土中には豊富な食料があったんです☆(ミミズなどの虫や木の根など)

これらすべての条件が整い、初期哺乳類は恒温機能を獲得し、徐々にその機能を高度化していったと考えられています。
そしてまたこの恒温機能がさらなる高度な胎生(胎盤の獲得など)を可能にしていったんです! 

~本日のまとめ~
寒冷地に逃げ込んだ初期哺乳類は、土に潜り、肺呼吸を獲得したものの、さらなる寒冷化という逆境の中で、今まで得た機能を下敷きにして恒温機能を獲得し、現代の哺乳類に続く諸機能を完成させていったのでした。

 


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次回は「哺乳類への進化 番外編」です。お楽しみに~  !!
本日特別参加させていただいた よしま でした☆

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