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哺乳類のほとんどが色盲って本当?

私たち人間が色彩豊かな「色」のある世界で生活しているのに対し、他の動物たちは「色」をどのように感じているのでしょうか?
今日は「色覚」について考えてみたいと思います。
まずは「色覚」とはなにか? についてですが、色覚とは違う波長の光を違うと感じる感覚のこと。実はこの「色」、もともと外の世界にあるのではなく、視細胞でそれぞれの波長の光を捉えた後その捉えた情報を頭の中で合成して初めて「色」が認識できるのだそうです。 🙄
この「色」を感じる視細胞。人間では「青」「緑」「赤」の3つの色を感じる視細胞(これを3色型色覚という)をもっており、この3原色から様々な色を合成して「色彩」を感じ取っているのだそうです。
では他の動物は?というと脊椎動物の多くは実は4色型色覚であるのに対し、人間などを除く多くの哺乳類は視細胞が退化した、2色型色覚と、動物によりかなり違った「色」の見え方をしているのだそうです。では、哺乳類ではなぜ色覚が退化してしまったのでしょうか?
現在、最古の哺乳類は2億2500万年前ごろに発生したアデロバシレウスという小型の小動物だったと考えられています。この時代、陸上にはまだまだ大型の爬虫類が多く存在し、哺乳類達はこの爬虫類たちを避けて、夜の森の中ひっそりと活動していたそうです。
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(写真はトガリネズミのもの アデロバシレウスはこのトガリネズミに似ていたらしい。)

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このため、「夜」に適応していく初期の哺乳類はほとんどが夜行性。色覚も夜へ適応していくために、明るさを感じる視細胞がかなり発達しているのに対し、色を感じる視細胞は退化させていってしまったそうです。現在でも、哺乳類の多くが2色覚しかない「色盲」なのはこのためなんだそうです。
さあ、ところで「色盲」という表現。「人間の色覚とは違った色覚をもっている」というだけで、犬や猫など2色型色覚の動物でも、ある程度の「色」の識別はできているのだそうです。ただその感じ方が違うだけ。また、同じ色覚を感じる視神経をもっていたとしても、それを脳で合成する方法が違えば見ている世界は全く違って見えるのだそうです。
だから、「色型色覚が多い」からといって必ずしも「視覚能力が優れている」という事にはならないようです。
犬猫 などの哺乳類であれば、色覚は退化させる一方で夜間の視覚能力は他の脊椎動物の比較にならないほど発達してます。鳥などの動物は他の動物と比べ遙かに遠くを見通すことができますし、私たち人間は一度退化した色覚を再度発達させて3つの色を脳内で再合成することで、豊かな色彩を感じ取る能力を身につけている。
それぞれの動物は彼らが生活する場での「外圧」に適応する形でさまざまな視覚能力を身につけていったわけです。 鳥や魚たちがどのような「目」をとおして世界を見ているのか?私たちには想像もつかないような世界を彼らは暮らしているのかもしれません。

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