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脳が飽和する!?~記憶のメカニズムについて~

脳の重要な働きの一つに「記憶」があり、この「記憶」が人の思考や行動に大きく影響を与えています。「記憶」とは、「知らない状態」から「知っている状態」への脳の変化であり(これを脳の可塑化と呼ぶ)、そのメカニズムについての記事を、東京大学大学院・薬学系研究科・講師 池谷裕二氏のサイトより、一部紹介します。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇引用はじめ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
私達は覚えようとしなければ覚えられません。ただぼんやりものを眺めているだけでは記憶されません。もし、見たものや経験したことを全てもれなく記憶してしまうと、人の脳は数分で飽和してしまうといわれてします。したがって、覚えようとしたものしか覚えられないという私達に備わった能力は悲観すべきものではありません。これは、ある一定の以上の強い信号が来たときにのみシナプス可塑性が生じるというもので、「協力性」と呼ばれる性質です。記憶のするために閾値が設定されており、これは閾値を越えたもの、つまり記憶しなければならないことだけを選抜して記憶するために役立っています。私達がいつも試験前に苦労しなければならないのは、まさにこの閾値が存在するからです。
さて、もう1つ忘れてはならない記憶の性質があります。それは連合学習です。私達は物事を覚えるときに何かに関連付けて記憶します。例えば、ワシントンを覚えるときも、ただワシントンと覚えただけでは、何の役にも立ちません。初代のアメリカ大統領と覚えることではじめて意味があるのです。また梅干しを見てよだれが出てくるといった条件反射も連合学習です。このように私達は通常、物事をほかの物事に連合させて覚えます。さらに連合させることで覚えやすくもなるのです。語呂合わせなどはそのよい例です。連合させれば閾値以下のものでも覚えられるわけです。 (中略)この性質を「連合性」といい、連合学習の基礎になっていると考えられます。(中略)
私達は誰でも思い出というものを持っています。思い出も一種の記憶です。(中略)感情や思い入れが深かったからこそ、今でもこうして思い出という記憶となって人の脳の中に残っているのだともいえます。快楽、恐怖、驚愕なども含めた喜怒哀楽といった感情のことを、私達は「情動」と呼んでいます。つまり情動が絡んだ出来事はよく覚えていられるというわけです。これは、情動が記憶の形成を促進していると言い換えることもできるでしょう。
東京大学大学院・薬学系研究科・講師 池谷裕二氏のサイト「Gaya’s homepage!」 [1]
「脳が記憶するとき-LTPとは何か-」http://gaya.jp/research/no0.htm
より引用
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆引用終わり◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
上記の内容で面白いのが、「見たものや経験したことを全てもれなく記憶してしまうと、人の脳は数分で飽和してしまう」という点。つまり、ある一定以上の強い信号が来たときにのみ、その情報が脳に記憶される、言い換えると記憶するために閾値が設定されているという点が、「記憶」のメカニズムの一つの大きな特徴ではないかと思います。
これは、必要なことを必要なだけ記憶するための重要なメカニズムであるとの同時に、そのメカニズムがうまく機能しなければ、必要なことでもなかなか覚えられない(すぐ忘れてしまう[:のぉ:][:雷:])といった状態に陥る危険性も孕んでいるのだと思います。
また、るいネット [2]にも「記憶」に関する投稿がたくさんあります。以下にいくつか紹介します。
人類の記憶回路の仕組み サヴァン症候群の事例から① [3]
人類の記憶回路の仕組み サヴァン症候群の事例から② [4]
脳回路の2段階構造 [5]
記憶力を高めるメソッド、(感謝の気持ち) [6]
共認充足が脳を活性化させる [7]
子供の記憶回路の劣化 [8]
記憶力がよくなりたい!っていうのは誰もが思うところでしょうし、勉強するにも仕事をするにも「記憶」を使いこなすことは非常に重要です。どんなときに「記憶」が活性化するのか、また「連合性」「情動」と「記憶」との関係性等、「記憶」のメカニズムについての新しい研究成果、記事などを見つけたら、また随時紹介していきたいと思います。
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