海水魚から淡水魚への進化は、ミネラルの貯蔵庫としての硬骨格の獲得、つまり本格的な脊椎動物への歩みの第一歩と言われる。
厚生労働省の定義に従うと、ミネラルとは、亜鉛・カリウム・カルシウム・クロム・セレン・鉄・銅・ナトリウム・マグネシウム・マンガン・ヨウ素・リンの12成分を指す。ミネラルは、糖質、脂質、蛋白質、ビタミンと並び生命維持に不可欠の五大栄養素のひとつに数えられている。
硬骨魚類登場以前の軟骨魚類の骨は、炭酸カルシウムで出来ていたのだが、硬骨魚類以降の脊椎動物の骨は、リン酸カルシウムで出来ている。ちなみにリンは、DNAやRNAの構成要素であるヌクレオチドの主成分のひとつであり、生物とは切っても切れない重要元素と言っても過言ではない。
もともと海(=海水)には豊富なミネラルが含まれており、地球に生命が誕生したのも、少なくとも38億年前までにはミネラルを豊富に含有する海が誕生したからである。
海水域を捨てて淡水域に適応しなければならなくなった初期魚類の状況は、「命の母」との決別を意味しており、その後の陸地への進出に匹敵する(あるいはそれ以上の)ターニングポイントだったと言えるかもしれない。
(by One O’clock Jump)